シドニー五輪へ期待されるホープたち/女子体操カン・スニョン選手(20)
2000年代初の開催となるシドニー五輪を来年に控え、今年は各種目で出場資格を得るための地域別予選や世界選手権が相次いで開かれる。シドニー五輪への出場が期待される、21世紀の共和国のスポーツ界を担う若手選手たちを随時紹介する。
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昨年12月にタイ・バンコクで開かれた第13回アジア競技大会の体操女子段違い平行棒で銀メダルを獲得したカン・スニョン選手(20)。愛くるしい顔つきと愛想の良さで、誰からも愛される人気者だ。試合ではE難度指定の高度な技を決めた。
体操を始めたのは10歳の時。平均台や跳馬など、「器械を使った体操に興味をひかれた」。体が柔らかくパワーがあるという利点を生かし、とくに段違い平行棒で才能を花開かせた。
とはいえ、体操は一朝一夕に実力が上がるものではない。より高い技術を得ようと猛特訓した末、E難度の大技をこなすまでに成長。国際大会でのメダル獲得も夢ではなくなった。
初の国際大会となった1992年のアジア青少年選手権(インド)では、段違い平行棒で優勝、平均台で準優勝、ゆかで3位という活躍を見せ、団体戦でも3位入賞に大きく貢献した。93、96年の東アジア選手権ではそれぞれ団体戦準優勝に貢献し、96年の中国での国際大会では段違い平行棒で優勝するなど、躍進ぶりは目覚ましく、名実共に共和国女子体操界の柱となった。
異国の空に共和国の旗がなびく、その瞬間のためなら、どんなにつらく厳しい練習も乗り越えられるというカン選手。「体操は、つらいところに喜びがあるんです」とも語る。
「今はもう、次の世代にバトンを渡す時期。でも、最後にもう一度、シドニーの空高く、共和国の旗を上げたい」
アジア大会の銀メダルを胸に、カメラに向かってVサインをする彼女の目には、在日同胞のためにも必ず金メダルを取りたいという気迫がみなぎっていた。(高)