「1人で悩まず、一緒に考えませんか?」/京都コリアン子育て相談室
開設から半年、2期目/「同胞同士だからこそ力になれることも」
「子供を育てるのは楽しいことです。でも、楽しいはずの子育ても様々なトラブルや悩みごとに直面することがあります。そんな時、ひとりで悩まないで一緒に考えませんか」(チラシより)――昨年6月、こうして始まった「京都コリアン子育て相談室」(主催=未来を育むオモニの会)は同胞女性ボランティアによる手作りの試みだ。半年を1期とする「相談室」。第2期は20日からスタートする。
核家族化と分散化
日本社会一般を見ても近年、子育てに不安や孤独感を感じている母親は多いというが、その背景には核家族化と地域コミュニティーの消滅がある。
同胞社会でも核家族化はもちろん、同胞居住地域の分散化が進み、若いオモニたちの中には身近に相談できる先輩オモニや友達オモニがいない人も少なくない。日本人と変わらない一般的な子育ての悩み、さらには同胞特有の悩みを抱え、孤立無援の状態に置かれている若いオモニもいるはずだ。
「そんなオモニたちを応援するのが私たちの仕事」と李福順所長(57)は話す。相談員は、若いオモニたちの母親やお姉さん役を引き受けようと奮起した同胞女性たちだ。各自、カウンセリング講座に通うなどの猛勉強を重ねた。
相談室は京都市国際交流協会との共催。市国際交流会館の一室で6月から半年間、毎週木曜の午後、週替わりで@幼児期A思春期B障害児C働くオモニD子供の国籍E南朝鮮からの留学生――のジャンル別に相談を受けつけてきた。国籍問題の相談には同胞司法書士が協力した。
実際に多かった相談は◇思春期◇障害児の就学問題◇乳幼児の子育て◇オモニ自身の友だち作り◇国籍――など。日本の新聞や朝鮮新報の紹介記事やチラシなどを見て訪れた人が多いという。電話による問い合わせや相談も多数あった。
また6月の相談室開設に先立ち、子育てに関する書籍、資料を集めた資料室も設けて好評を博している。さらに11月には子どもをテーマにした多くの著作がある作家の灰谷健次郎氏を招いて講演会を企画。270余人のオモニたちが集まり盛況だった。11月からは「未来を育むオモニの会通信―ミオ」(季刊)の発行もスタートさせた。
司法書士らも協力
会ではこうした第1期の活動を踏まえ、20日から毎週水曜に開く第2期の相談室は細かくジャンル分けをせずに自由な内容で相談できるようにした。ただし毎月第2水曜は司法書士による法律相談を受け付ける。好評の電話相談は、相談室直通の回線で引き続き行っていく。
第1期の間、1人も相談に訪れない日も度々あったが、週1回の原則は変えない。「常にそこに行けば必ず誰かがいる」という信頼感が欠かせないという思いからだ。だからもし相談がなくても気軽に訪れてほしいという。オモニたちが安心してほっとできる場の提供を目指している。
また1期に1度の講演会を定例化。今期は7月頃を予定している。
「初めの頃、やりたい気持ちと自分の力に差があり過ぎて歯がゆかった。しかし2人の相談員と協力し、努力を重ねてなんとかやってこれた。京都のすべてのオモニたちに信頼され、安心感を与えられる相談室を目指して頑張りたい」と李室長は語る。
2人の相談員は40代。ともに実際に小さい子供を抱えて奮闘する家庭の主婦で、朝鮮学校の卒業生だ。1人は教員経験者でもある。「相談に乗りながら、同胞であり朝鮮学校を卒業した私たちだからこそ力になれることがあると痛感している」「つねにオモニたちと一緒に考える気持ちを忘れずに、自分自身も学ぶ姿勢で続けていきたい」と話していた。
日時=毎週水曜日午後1時半〜4時
場所=京都市国際交流会館 TEL075−752−3510
交通=地下鉄東西線「蹴上」北300メートル、市バス「京都会館美術館前」東600メートル
問い合わせと相談の予約は事務局 TEL
075−313−8957、
相談時間内の電話相談は TEL
075−752−3010へ。