1999年―展望―南朝鮮
内閣制改憲巡り連立政権にあつれき/構造調整で失業者急増へ
深刻な通貨・金融危機から一昨年12月に国際通貨基金(IMF)の支援体制に入った南朝鮮。市民の関心はしばらく経済の方ばかりに向いていたが、今年早々から、最大の焦点である内閣責任制改憲問題をめぐり論議が白熱している。期限の今年末までに改憲できるかどうかが、政局を占うカギとなろう。
揺らぐ「寄合所帯」
内閣責任制改憲は、連立を組む国民会議(金大中総裁、趙世衡総裁代行)と自民連(朴泰俊総裁、金鍾泌名誉総裁)の両与党が一昨年末の「大統領」選挙時、候補一本化の公約として掲げたものだ。しかし、新「政権」発足から1年が経った今になって、国民会議側が「時期尚早論」を公言、自民連側が反発している。現与党はもともと、「大統領」制か内閣責任制かという根本の部分で相入れない者同士の寄合所帯だが、その連立内にあつれきが生じ始めている。
両党は選挙時、金大中が当選した際には金鍾泌を新「政権」の「総理」とし、1999年末までに内閣責任制に改憲することで合意し、選挙を共闘。当時の与党候補らを退け、金大中が当選した。その後、野党の反対など曲折を経ながらも、公約どおり金鍾泌を「総理」に任命した。
しかし、もう一つの公約である内閣責任制改憲問題をめぐって、今月17日に「大統領」側近の青瓦台高官が「経済回復」を大義名分に「改憲延期」を公言。公約回避の外堀固めとも取れるこの発言が自民連側を激怒させた。
東亜日報が年明けに実施した「国会」議員を対象とした世論調査では、改憲支持が自民連の100%に対し、国民会議は37・9%と、双方の思惑のすれ違いが露になった。京郷新聞の世論調査では、市民で「国民会議は改憲の公約を守らない」と答えた人は47・1%で、「守る」の36.6%を引き離した。
国民会議側に対する自民連側の不信感は募る一方で、各紙では「連立解消か」「両与党合併の可能性も」など、大規模な政界再編もあり得ると指摘する。
ちなみに、京郷新聞が同じ世論調査で、市民に支持政党を聞いたところ、48%とほぼ半数が「なし」と答えており、政争にあきれる市民の内心を反映する結果となった。
根強いIMF批判
一方、IMF体制下での南朝鮮経済は、昨年後半ごろから若干上向きの傾向にあるようだ。
IMFは一昨年末の支援合意の際、経済成長率を3%以内に抑えるなどのマクロ緊縮策、外国企業の子会社設立認可と外国人の株式取得限度の引き上げ、企業の閉鎖・合併・買収をはじめとする構造調整などを条件に掲げた。徹底した緊縮財政の結果、貿易収支は若干だが黒字に転じ、一時は暴落したウォンのレートや株価もほぼ安定。通貨・金融危機も最悪の状態から少しは持ち直したようだ。
融資条件のうち、最も目に見える形で進んでいるのが、財閥改革だ。昨年末に「政府」と5大財閥の間で合意した構造調整案に基づき、大規模な事業交換が行われており、すでに、三星自動車が大宇自動車に、大宇電子が三星電子にそれぞれ吸収されるほか、LG半導体の現代電子への吸収も決定した。大企業の整理解雇も進んでいる。
しかし、その過程で大量の失業者が発生していることから、失業率は再び上昇傾向にあり、昨年12月末現在、月別統計を始めた1982年以来最悪の7.9%に達した。失業者数は、就職先のない大卒予定者などを含めると300〜400万人に達するというのが、専門家の間では一般的な見方だ。今後も失業者は増えることが予想される。
労働者側は「吸収合併は労働者の意向を無視した一方的なものだ」と反発しており、作業をボイコットしたり、抗議集会を相次いで開いている。2大労組の全国民主労働組合総連盟と「韓国労働組合総連盟」も全面サポートの意思を示しており、大規模な労働闘争に発展する可能性が高い。
市民の間では、無理難題を押し付けるIMF体制の撤回を求める声も依然高く、昨年11月の民衆大会では、IMF体制下の南朝鮮を「米国の経済植民地」と厳しく非難した。失業者の増加に歯止めが利かないようなら、IMF体制への批判も一層高まるだろう。
通貨・金融危機の原因と責任を追及する経済聴聞会が今月始まったが、当時の「大統領」で与党総裁だった金泳三は依然、聴聞会への出席を拒否しており、当時の与党の流れをくむ野党ハンナラ党も欠席したままだ。今後は危機の責任の所在をめぐり、与野間で激しい応酬が展開すると見られる。(根)