ウリ民族の風習、伝統/チェサ(祭祀)(1)由来
先祖を敬う儀式/家族のきずなを保つ場
命日の夜、屏風の前に設けた祭壇に御飯や、餅、魚、果物、酒などの供え物を配する。故人の霊を天から呼び寄せ、献杯、拝礼し、食事を召し上がってもらった後、霊を再び、天へ送る。
その後、酒食をかこんで兄弟、親戚、身内が、近況を語り合う。時代が変わろうとチェサ(祭祀)は今でも一族のきずなを保つ場となっている。
チェサは、先祖を追慕し、先祖の加護を願って子孫の幸せを得んとする、朝鮮民族独特の儀式である。
チェサの場を設けることによって、故人は死後の平安を約束され、子孫は先祖を祭り、供養することによって現世の平安が約束されるという。
チェサは家族、親族の親和の場であり、家族の平安を計る場でもある。
日本にも先祖を祭る法事があるが、内容は異なる。
朝鮮民族は、先祖を「神位」に奉り、直系血族が代をついでチェサを行うが、日本では故人を仏として扱い、お盆や、お彼岸などに供養、墓参りをする。
チェサは高句麗、新羅、百済の三国時代(313〜676年)から始まったとされる。それは、始祖を祭るのが一般的だった。
いま、私たちが言うチェサは、高麗(918〜1392年)末期に儒教に影響されてから行われてきた。国祖(王)と共に、家の先祖や、亡くなった肉親や、家族に対しても行う風潮が王侯貴族の中から始まり、それが、やがて李朝時代(1392〜1910年)に一般家庭にも広がった。
チェサは、在日同胞の中で今も根強く生きつづけており、家族間の親ぼくの場、民族性を保つ場となっている。