大きく変わる同胞社会の環境/どう未来を探るのか
1997年12月に開設した東京・上野の同胞法律・生活センターに寄せられた相談は、8月で1500件を越えた。相続、国籍に関する相談が多いという。
特に国籍に関する相談は国際結婚で生まれた子供のことや、国際結婚に関する問題が多いという。最近では南朝鮮からの「ニューカマー」の、相談も増えているそうだ。
外国人登録上の在日朝鮮人の数は、91年をピークに減少傾向が続いている。植民地支配により日本に渡ってきた同胞と、その子孫である特別永住者の数も年々減り、就職、留学のため日本にやってくる「ニューカマー」が80年代から増えつづけている。
また、他の外国人の増加で(昨年は150万人突破)全外国人に占める朝鮮人の割合も年々低下し、95年に初めて50%を割り込んだ。在日社会を取り巻く環境は大きく変ぼうしているのだ。
昨年生まれた同胞の子供の数は1万395人。両親のいずれかが日本人の子供は3分の2におよんだ。
日本では、両親のどちらか一方が日本国籍の場合、その子供が22歳まで民族の国籍を選択しないと日本国籍取得者として扱う。95年には、日本国籍を取得した同胞ははじめて1万人の大台を越え、今も増加している。
数字に見え隠れする同胞の様々な顔、様々な生き方。現実を受け止め、知ることが、同胞社会の未来をさぐる第1歩になる。(張慧純、関連データ)
データで見る同胞社会
人数 | 63万8828人(98年末現在)、 特別永住者は 52万8450人) |
出生 | 1万395人(両親とも同胞 3102、 父母いずれかが同胞 7293) |
死亡 | 4422人(98年の1年間) |
高齢化率 | 11%(98年末現在) |
国際結婚 | 75%(98年末現在) |
日本国籍取得者 | 9561人(98年の1年間) |
同胞人口
1 | 大阪 | 163067 |
2 | 東京 | 92984 |
3 | 兵庫 | 66869 |
4 | 愛知 | 49264 |
5 | 京都 | 42606 |
6 | 神奈川 | 32338 |
7 | 福岡 | 22994 |
8 | 埼玉 | 16484 |
9 | 千葉 | 16265 |
10 | 広島 | 14066 |
45 | 鹿児島 | 510 |
46 | 徳島 | 466 |
47 | 沖縄 | 411 |
※在日朝鮮人数、都道府県別人数、高齢化率は「在留外国人統計」1999年版(財団法人入管協会)から、出生、死亡、国際結婚率は「人口動態統計」1998年版(厚生省官房統計情報部)、日本国籍取得者数は法務省調べ。