聞いてほしい!倒産の話(2)/「八起会」の野口誠一会長
自己批判と健康管理に努めよ
トップの資質とは何か。分かったら変えられる、実行できるということです。倒産の原因を分析し、すべて自分が悪かったと認めること。これが、倒産者が出すべき最も正しい答えです。
人間死ぬまでに挫折と失敗は付きものです。その時、人のせいにするのだけは絶対やめてください。人のせいにすると、一瞬、楽に見えますが、実はそうじゃない。後で苦しむだけなんです。自分が悪いと認めれば、苦しみは半減します。
部下が言うことを聞かないのは、自分の育て方が悪いから。人をだます方も悪いが、だまされる人はなお悪い。そう考えて行くと、ほとんど自分に原因があることに気付く。気付いたら直す。その努力を積み重ねることで、物事の原理原則も分かってきます。
そうすると、いつの間にか、人間的魅力というものが備わる。学問・学歴ではない、魅力がなければ、人は付いて来ませんよ。魅力のある人は、何をしても同じ過ちは2度としない。ここが大事です。何でも思ったらすぐ実行すべきです。失敗は付きもの、恐れてはいけません。失敗は最高の教育ですよ。
ところで、あまり商売ばかりに熱中していると、またバランスを崩す。今度は「体の倒産」が襲い掛かります。
自分は健康だ、大丈夫だと安心している人ほど危ない。肝臓が悪い、血圧が高い、糖尿が出たと、分かっているくせに、健康な人と同じ生活をしようとする。無茶ですよ。その辺の日常の甘さから、自分だけが体の倒産をし、家族にも迷惑を掛けるんです。トップというのは健康でなければ務まりません。自分1人の体ではないということを自覚すべきです。
倒産して沖縄から逃げてきたある人は、東京で働いてもう1度復活したい、宅建免許を取るといって猛勉強を始めた。無理がたたって脳内出血で倒れ、2年後に病院で息を引き取った。42歳の若さです。自己破産した輸入住宅会社の社長には、茨城の運送会社への就職を世話したんですが、10日後ですよ、心不全で亡くなったのは39歳でした。情けなくなりますよ。
若いからと油断してはいけない。今日から改めて、体の倒産を真剣に考えて、やり直してほしいと思います。