取材ノート/思いがけず通った企画


 「リニューアル・シンボ」最初の号、4日付8面トップの企画をめぐり、思いがけず私の出した案が通ることになった。急きょ編集会議が開かれ、当初の案を翻して採用された。

 新しい「朝鮮新報」が開拓していこうという読者層は20〜30代の若い世代だ。私は現在30歳で、日文部の中ではちょうど真ん中。編集会議での議論からは、若い層の声を生かしていこうという先輩たちの気持ちがうかがえた。期待と責任を感じる。

 通った企画案のテーマは「21世紀、私は…」。若い人を中心に、幅広い同胞たちの夢や希望、目標、計画、展望、願いなどをたくさん集めて並べようと思った。それも、できるだけ既成の読者ではない人から、だ。

 名刺入れをひっくり返し、アドレス帳を片っ端からめくった。取材先や色々な場での出会い、会話を思い出しながら電話のプッシュボタンを押し、パソコンのキーを叩いた。

 「本音を話していいの?『新報向け』じゃないよ」という声に、やっぱり新報って信用されていないんだと改めて思いながら自戒も込め、「むしろその方がいいんです」。失った信用は地道に取り戻していくしかない。一方、「おもしろそう。私、韓国籍だけどいいの?」と興味を示してくれたのは組織とまったく関わりのない人だ。「もちろんです。日本国籍だって全然構いません」と、思わず力が入る。

 こうして集まった夢や希望の数々。なにかと暗いニュースばかりの世の中、しばらく自分の夢なんて考えたこともなかったが、だんだん楽しい気分になってきた。夢のない時代と言われるが、この同胞社会も、まだまだ捨てたものじゃないようだ。

 私の夢ってなんだろう? あなたの夢はなんですか? (韓東賢記者)