春夏秋冬


 「天高く馬肥ゆる秋」。心身共にリフレッシュできる、さわやかな季節になった。今年の夏が、記憶にないほどの異常な暑さだっただけに、読者のみなさんも、秋の到来を待ちこがれたのではないだろうか

 ▼異常といえば、気候だけではなく、何か最近、世の中のすべてがおかしい(?)と感じる。トルコ、台湾の地震、ワシントンを直撃したハリケーンなど大型の自然災害、東海村の臨界事故、警察(官)の相次ぐ不祥事、猟奇殺人…。なかでも、これはちょっと次元が違うんではないか、と思ったのが東海村の臨界事故である

 ▼ニュースは繰り返し事故の発生を伝えるものの、それがどのような質の事故なのか、危険の度合いがどれほどのものなのか、知りたい情報はまったく得られない。そのじれったさに、思わずテレビの画面の前で、「原爆の爆発と同じ」だと怒鳴ってしまった。危険も危険、屋内退避ではすまないレベルの事故なのだ

 ▼屋内退避で一般住民の被爆は避けられた、と関係機関は発表したが、放射能から出る中性子はどんな頑丈な建物でもすり抜けて入り込む。むろん、体内にもだ。屋内退避は中性子の餌食になれ、ということと同じであって、被爆から逃れられる最良の方法は、20、30キロとひたすら遠くに避難するしかないのだ

 ▼この中性子の特徴を生かして、米国は中性子爆弾を開発し、80年代初めに朝鮮半島に配備しようとしたことがある。人の命を確実に奪うことから、「悪魔の兵器」と呼ばれ、開発そのものに物理学者ら多くの人たちが反対した。情報にあふれたこんにちだが、知りたい情報は少ない。(彦)