ウリ民族の風習、伝統/チェサ(祭祀)(2)キジェ(忌祭)


故人の命日の祭/かつて4代まで、いまは2代が一般的

 朝鮮民族は、故人の命日のキジェ(忌祭)を基本に、正月とお盆のチョルジェ(節祭)にチェサ(祭祀)を行うのが一般的である。

 キジェの対象は、ひと昔前までは4代(例えば親・祖・曾祖・高祖)までとされていたが、今日では2代まで、というのが普通である。それは、あまりにも経済的負担が大きいからだ。

 共に生活をしてきた故人への哀惜の情は深く、真心をこめて祭るのは当然である。先祖を祭るということは、孝をまっとうする事なのだ。

 だから、昔も今も祭主(チェジュ=チェサを行う者)は、「礼はその奢(おご)らんよりは、むしろ倹(けん)せよ」(孔子=中国・周時代の思想家)といわれてきたように、故人の霊にたくさんのチェス(祭需=祭祀に用いる物品)を供えるのではなく、一飲の水、一輪の花で簡素に真心をこめて追慕し、供養することを心掛ける事が重要なのだ。

 キジェは、基本的に故人が住んでいた家か長男、長男の子(孫)の家で行う。

 時間は、幼い子供たちのことも考えて、最近では、命日の夜9時ごろから行うのが、一般的である。

 チェジュは、故人の長男か長男の子。妻のチェサはその夫か息子、夫のチェサは息子が行うのが基本である。参列者は、故人の直系の子孫とその親戚。自分を基準にして2代目までとされている。

 チェサは死後の儀式である。死者を葬って喪が明ければ、その後の死者の祭りは「吉事」として扱われる。だからチェサの時、子孫と参列者は不吉なことを話題にしないのが決まりである。