ヒットの真相/MD
小型化・低価格で急速普及
カセットテープに代わる新たな音響メディア、MD(ミニディスク)が好調だ。ソニーが1992年に第1号モデルを発表してから7年。この数年間の激しい技術競争によって、小型で高性能な製品が多く出回るようになった。独特の多機能さと利便性、デザインが若者の心をつかんでいる。
MDは、直径6.4センチの磁気盤をプラスチックカートリッジに収めたもの。構造はパソコンの3.5インチフロッピーディスクに近い。
MDの特長は、音質の良さと圧倒的な使いやすさだ。MDはCDのデジタル信号をデジタル回線を通じてそのまま記録するため、音質はアナログ録音のカセットをしのぐ。録音されたMDはCDと同じように曲の頭出しや繰り返し再生が簡単なうえ、カセットでは不可能だった曲順の入れ替えや合成・分割、消去、曲タイトル入力もこなす。
初期はかなり高価だったが、様々なメーカーの参入で市場が拡大、低価格化が普及に拍車を掛けた。販売総台数ではまだまだカセットが上回るが、MDの売り上げは急速に伸びており、カセットデッキからの買い替えも進んでいる。
小売店で圧倒的な売れ行きを見せるのはポータブル、いわゆるウォークマンタイプ。再生専用機と録音・再生機があり、各メーカーがこぞって「世界最小・最軽量・最長再生時間」の座を競っている。カセットより小さいMDは小型化によって普及してきたが、サイズや重さは今やコンマ数ミリ、数グラムの世界。わずか63グラムで60時間再生というモデルまで登場した。ソニー、シャープ、松下の「3強」と新規参入のビクターやアイワが、記録を日々更新する状態が続いている。
一方、据え置き型のラジカセやコンポは、MD、CD、カセット、チューナーを一体化させて録音・編集の簡単さを追求したものが主流。デザインを重視する消費者が増えていることから、カラフルなインテリア感覚の商品の人気が高い。