朝鮮情勢 転換のきざし


 朝鮮半島を取り巻く情勢が大きく変わろうとしている。朝鮮と敵対関係にあった米日が、敵視政策を国交樹立に向けた政策へとシフトし、同時に冷え切っていた南北関係においても和解へのうねりが起きているのだ。

 朝鮮半島情勢が対立から和解へと転換した最大の要因は、朝米関係の改善である。

 重要なことは、朝鮮が米国を100年来の敵と見なさず、米国も朝鮮の崩壊を想定したこれまでの圧殺政策を断念したという事実。これで朝米双方は、朝鮮戦争以来、続いてきた敵対関係に終止符を打ち、国交樹立への第1歩を歩み始めた。

 これに引きずられる形で、朝・日関係も水面下で動き始めた。朝鮮労働党の金容淳書記は社民党の清水澄子参院議員との会見(9月21日)で、日本側が派遣準備を行っている村山元総理を団長とする訪朝団を受け入れる意思を表明した。

 訪朝団は、国交正常化会談再開という懸案を持って訪朝を予定しているだけに、朝・日関係進展に大きな期待がかけられている。

 南北関係では、民間による経済協力、スポーツ、文化交流に注目すべきだ。民間という形で交流が進んではいるが、それぞれ当局の承認のもとに行われている行事である。いまは南の民間人が北へ行くだけの一方通行だが、金容淳書記の年内ソウル訪問が実現すれば、それも解消されるし、金大中「大統領」も金書記のソウル訪問について歓迎の意を表している。

 同時に今年8月15日の演説で金「大統領」が「国家保安法」の改廃を言明したことも重要な意味を持つ。今年2月の朝鮮政府・政党・団体連合会議で北が、当局間会談の前提条件として挙げた4つの内の1つが、まさに「保安法」の撤廃だからだ。

 今後、予想される情勢の変化を考えると、いま起きている出来事は、非常に小さいと言える。が、水面下では大きな流れが脈打っているのだ。(元英哲記者)

 

 
目標 国交関係の樹立
合意 黒鉛炉の凍結
ミサイル発射実験の一時停止
軽水炉の提供
経済制裁措置の一部解除
主張 制裁措置の全面解除
平和協定の締結
駐南米軍の撤退
ミサイル開発の全面中止
市場経済の導入
米式民主主義の導入

 

 
目標 今世紀に起きたこと(日本の朝鮮侵略)は今世紀中に解決
主張 昨夏打ち上げたのは人工衛星
行方不明日本人該当者なし
かつての「条約」は当初より無効
戦争被害に対する賠償
ミサイル発射の凍結
行方不明日本人の調査
「日韓併合条約」は当時有効
賠償責任なし、財産請求権のみ存在

 

 
主張 民族代団結による統一の実現
外勢との共助放棄
外国との合同演習の中止
「国家保安法」の撤廃
統一、愛国活動の自由保障
南北合意書の履行、相互主義の貫徹
米日との共助強化
米日との演習実施
「保安法」改編の推進
汎民連、「韓総連」は利敵団体