春夏秋冬
茶パツ、ガングロ、ネイルアート(つけ爪やマニキュアでおしゃれを楽しむこと)。いま流行のファッション用語である。いやもうすでに流行遅れになっているかもしれない。まさに日進月歩ならぬ「時進日歩」である
▼最近の若者は、何を考えているのだろうか。趣味は、話題は。偽らざるところを教えてくれ、地元の朝青支部副委員長に、そう尋ねた。「話しても分からない」とでも言いたそうな顔をして、彼は冒頭の流行のこと、流行遅れになるまいとして、若者が涙ぐましい努力をしていることを教えてくれた。1年半ほど流行遅れだがという注釈を付けて。20歳過ぎれば「オバン」と呼ばれる所以である
▼団塊の世代に生まれた筆者が学生の頃、「コソ勉」が流行っていた。実際は猛勉強しているのに、そんなそぶりを一切見せず、「昨日のテレビは面白かったなぁ」とか言いながら、試験ではしっかりいい点数を取るのだ
▼そういう連中が社会に出て、流行を演出する側に立った。そして流行らせたのが、軽薄短小である。軽いノリで世の中を生きていくことのカッコよさを演出した。軽薄短小の美学は、努力しなくても世間を渡れるという錯覚を生んだ
▼流行はスカートの丈に表されるように繰り返される。同じように人類は、戦争と平和の間を揺れ動いてきた。でもどんなにファッションが、時代が変わろうとも変わらないものがある。その典型の一つが恋愛、家族愛、民族愛である。形は変わっても愛そのものは変わらない。そして美も。普遍のものをしっかりとらえたうえで、改めて流行を見つめることが大事だと思う。(元)