愛国愛族の旗印を高く掲げ、同胞愛で団結した力で新世紀の分会活動を創造していこう
総聯分会代表者大会の報告(1999年10月16日)
総聯中央徐萬述第1副議長
分会代表者のみなさん!
同胞が住む津々浦々で総聯分会と各種団体の末端組織の代表たちが、このように席を共にすることになりました。
私は、「愛国愛族分会創造運動」を力強く進め、新しい革新と模範をつくり、大きな誇りを胸に大会に参加した分会の代表、各団体の末端組織の皆さんを、総聯中央常任委員会の名前で熱烈に歓迎し、心からの熱い挨拶を送ります。
1 愛国愛族の伝統を継承し、分会活動の新たな発展のために
代表のみなさん。
第18回分会熱誠者大会が開かれた時からこの6年間、われわれを取り巻く環境は、言葉に言い表せないくらい困難で、試練に満ちたものでした。
この間われわれは、民族の偉大な父である金日成主席が死去される悲しみを味わい、祖国も連続する大自然災害で経済的な困難を経験しました。
米国とその追随勢力は、共和国を孤立、圧殺しようと「核疑惑」、「ミサイル脅威」を叫びながらしつこく攻撃しました。
反共和国、反総聯宣伝が狂ったように行なわれ、反朝鮮人感情があおられる物々しい環境のなかで、総聯と在日同胞に対する弾圧は卑劣で、悪質なものでした。
しかし、総聯と愛国的な同胞たちは、積み重なる試練を勝ち抜いてきました。
わが同胞は、金正日総書記の指導さえあれば必ず勝利するという信念を胸に、総聯の周りに堅く団結し、力強くたたかうことでわれわれの組織も、生活と権利もしっかり守りました。
新世代を中心に、同胞社会を賑やかにする多彩な文化スポーツ活動がいつになく活発に行われ、朝鮮学校と生徒たちに害を与えようという者たちに対しては民族教育の成果を轟かせ、より立派で現代的な学校を建設することで答えました。
また祖国の水害被災同胞のために、同胞だけでなく日本の良心的な団体と人士まで一緒になって、数多くの支援物資を送りました。
あらゆる試練の中でも揺らぐことなく祖国愛、組織愛、同胞愛を発揮した同胞たちの精神的風貌は、誠に美しく崇高でありました。 そんな同胞たちの先頭には、いつも総聯と女性同盟の分会長をはじめとした分会活動家と各団体の役員らがいました。
総聯中央は、誰が見ているとか知っているとかに関係なく、また評価と報酬のためではなく、心からただ祖国と同胞、次世代の未来のために何も惜しまない立派な同胞先覚者、真の愛国者である皆さんのことを、大きな誇りに思っています。
私は総聯中央常任委員会を代表し、この席に集まった代表の皆さんに、また皆さんを通じ、総聯の基層組織で活動するすべての役員らに心からの敬意と感謝を送ります。
代表のみなさん。
金正日総書記は次のように述べました。
「総聯は、大衆に愛される組織体となり、各界各層の幅広い同胞をより多く組織に結集させなくてはなりません」
われわれは9月に開いた総聯中央委員会第18期第3回会議拡大会議で、変化した環境と完全に世代が交代した現状に合わせて総聯の活動方法を根本的に転換することについて討議、決定しました。
これは、総聯をすべての在日同胞に真しに奉仕し、多くの同胞、とくに新世代から支持、信頼される同胞大衆団体に発展させるためのものです。
会議では、総聯活動を同胞生活によりいっそう尽くせるよう、中央機構から改善し、その方向に沿って各機関の組織の姿、活動方式を変えていく措置を講じました。
総聯を真の同胞大衆団体にするうえで、総聯の分会と各団体の基層組織の位置と役割が重要であります。
分会は、在日同胞が日本でも民族の代を継ぎながら、互いに助け合って暮らしていける同胞の生活の場であり、総聯の基層組織でもあります。
総聯が半世紀にわたって、愛国愛族の伝統を受け継いでこれたのも、分会を同胞らの相互扶助を大切にする場にし、同胞らの団結を固め、生活を助けてきたからです。
その間、われわれを取り巻く情勢と、日本の環境は大きく変わりました。
1世が開拓した在日朝鮮人運動は、2世へと受け継がれ、こんにちは3世、4世が同胞生活の主役として登場しています。
環境と同胞らの生活方式が変わるに伴い、分会のありかたもこれまでとは大きく変わり、分会の活動も多彩になってきました。
総聯が1世が築いた愛国愛族の業績を受け継ぎ、新たな高揚を成し遂げるには、末端の分会活動で転換を起こさなければならないでしょう。
今回、われわれが「分会熱誠者大会」ではなく「分会代表者大会―1999」という名称で会議を招集したのも、これまでの成果と業績を継承し、新世紀に向かって新たな分会活動を作り上げていくためです。
では、分会はその姿と活動をどのように発展させていかなければならないのでしょうか。
新世紀を迎える分会は何よりも、同胞生活に奉仕し、同胞たちの利益を追求する保護者、服務者としての分会にならなければならないでしょう。
分会の活動を徹底的に同胞生活に密着させ、同胞らの生活感情に沿って展開し、新しい世代をはじめとする同胞らの要求を積極的に実現する分会、互いに助け合い楽しく暮らせる同胞らのトンネ(村)、これがわれわれが志向する分会の姿です。
新世紀の分会はまた、管下の同胞が一つの民族を網羅する広範な分会であり、地域の日本住民とも助け合う分会であります。
分会が管下すべての同胞らを同胞愛で受け入れ、民族が大団結した一つの家庭のようにつくると同時に、日本の住民からの支持を受けてこそ、同胞にも尽くせるし、後世のための地域同胞社会を築き、民族の代を引き継ぐこともできます。
私は、各分会の経験を紹介しながら、分会活動の新たな発展のために、いくつかの提起を行います。
2 分会を互いに助け合い仲睦まじく暮らす同胞生活の場に作ることについて
分会の活動は大きく分けて、その地域に暮らす同胞ならびに日本人住民との活動で構成されます。
(1)まず同胞との活動について話します。
第1に、分会では同胞たちの要求を満たし、彼らの生活の助けとなる活動を中心にすべきです。
同胞生活では、子育てと教育からはじまり、新しい世代が家庭を築いて安定した職に就き生活を営むこと、老後を過ごす高齢者同胞への奉仕など、じつに多様な問題が提起されます。
とりわけ今日、日本の経済状況が厳しく政治情勢が複雑な中で、同胞たちは多くの苦労を強いられており、生活上の安心と生きがいにたいする要求はいつになく高まっています。
分会がこうした同胞の様々な心配事をともに解決するためには、肉親の情をもって互いに信じ合い、助け合う美しい気風が満ちあふれるようしなければなりません。
総聯静岡・中部支部の桜町分会をはじめ多くの分会で行っているように、分会長と分会委員たちは同胞家庭をそれぞれ責任持ち、彼らの生活と要求について熟知することが大事です。同胞たちと喜びを分かち合い、困難な問題については心から心配し助け合ってこそ、分会は名実共に同胞の安らぎの場となるでしょう。
とくに、同胞たちの冠婚葬祭の手助けをしっかり行い、出産祝いや入学祝い、成人式や結婚式も分会で祝うようにすれば、同胞社会がひとつの家族のようになるでしょう。
また、お年寄りのための敬老のつどいだけでなく、これからは病気治療や介護などの活動も行っていけば、みな喜ぶでしょう。
分会長と分会委員は、各支部に設置される同胞生活相談総合センターを広く紹介し、商工会や朝銀、金剛保険との取引も斡旋し、同胞たちの生活で提起される諸問題を解決する道案内人にならねばなりません。
第2に、分会は同胞たちの切実な問題である子女教育に力をいれるべきです。
分会は、私たちの希望の光である同胞子女たちが朝鮮人としてりっぱに育つよう、肉親のように見守ってあげなければなりません。
分会においても、医者や朝鮮学校教員を招いて「子どもの健康相談の日」や「保育経験交流」などを行うことができます。その場に民団や総聯会員にまだなっていない新しい世代の父兄たちまで引き入れれば、子女の教育問題をつうじて同胞間の連携をいっそう広げることができます。
女性同盟千葉・西部支部の習志野分会では、同胞女性たちとの活動に力を入れ、毎年、朝鮮学校への入学・編入事業の目標を100%以上達成しています。
子女教育につねに深い関心を払ってきた女性同盟分会は、学齢前の子どもたちを自分の子のように大切にし、その保護者との信頼を深め、多くの同胞子女たちが朝鮮幼稚園、朝鮮学校で学ぶようにしなければなりません。
総聯の民族教育事業は、世界に類例のない私たち同胞のいちばんの誇りです。
私たちは、同胞たちの力を合わせて「アボジ号」「オモニ号」通学バスや各種の教育機材を学校に贈ってきた愛校精神をいっそう高く発揮し、私たちの後をになう新しい世代がその愛の中で学び、朝鮮人としてりっぱに成長するようにすべきです。
第3に、分会では同胞マダン(場)をたくさんつくり、民族的な誇りをもって仲睦まじく暮らすようにすべきです。
互いに行き来し合って親交を深め、よく集えば、民族愛にもとづく連帯が強まります。
総聯群馬・西毛支部の新町分会「アボジ農楽クラブ」のように、文化・スポーツクラブは同胞社会に朝鮮民族の香りをあふれさせる重要なマダンです。
総聯分会と女性同盟分会、朝青班では、新しい世代をはじめとする広範な同胞たちの要求にそった多様なクラブをつくり、しっかり運営していかねばなりません。
総聯山口・宇部小野田支部の西宇部分会では、子どもたちから1世同胞にいたる世代別の集いやゴルフ大会、バレーボール大会、海水浴やキャンプ、花見など、年間を通じて各種のイベントを組織し、ここに民団同胞から帰化した同胞たちまで積極的に網羅しています。こうして、みんなが「ウリ分会は仲睦まじく住み心地の良いトンネ」といい、よく分会に集まっています。
このように、分会は同胞たちが知りたがっている情勢や祖国のニュースを伝える講演会もひらき、民族愛、同胞愛にもとづいて集うマダンを年間を通じてつくらねばなりません。
分会が同胞間の連携を緊密にし広めていくためには、出版物と種々の情報手段も積極的に活用していかなければなりません。
10月4日付から朝鮮新報は広範な同胞たちが購読できるよう、編集を一新しました。また、毎号、日本語紙面を併せて発行しています。
分会では、私たちの声がしっかりと伝えられ、同胞たちが心と歩みをともにするためにも、すべての同胞の家に朝鮮新報と月刊誌「イオ」が届けられ愛読されるよう、大きな力をそそがねばなりません。
また、総聯東京・中杉支部荻窪分会の『ウリトンネ』のような分会通信や情報小冊子も発行し、各支部で発行される同胞新聞や新しい世代の中で広まっているインターネットも積極的に活用し、同胞たちの生活に助けとなる情報と知識を提供することが大事です。
私たちは、分会に居住する全同胞女性137人と日常的な連携を保ち、その9割である123人を同盟員とし、活気にみちあふれた分会活動を展開している女性同盟兵庫・飾磨支部英賀東分会の模範に学び、広範な同胞たちをいっそう結集せねばなりません。
地域商工会と青商会、そして団体、事業体のすべての基層組織も、同胞たちの生活により密着し、自らの特色を十分に生かした創造的な活動を行うことによって、新しい世代をはじめ同胞たちを広範に結集し、同胞トンネを民族性溢れ賑々しくさせなければなりません。
(2)つぎに、分会では居住地域の日本の人たちとの活動に力を入れなければなりません。
私たちが日本で安心して暮らすことのできる環境をつくるためには、民族的尊厳を守りながら、同時に地域住民としての協調性をもって地域社会の発展にも寄与していかなければなりません。
分会では、近所に住む日本人、居住地域の日本人住民との日常的な交流を深めなければなりません。
日本の人たちと文化・スポーツ行事もともに行い、福祉事業や公害防止、環境美化など、地域社会に寄与する活動も一緒に行っていくべきです。
分会の単位でも、実情にそって日本の地域自治体との活動を行うことができます。
北海道の旭川支部・稚内分会では、20年前から市長をはじめ日本の各界人士たちを網羅して「日朝友好市民会議」をつくり、活動しています。
また、総聯岡山・倉敷支部の玉島分会は、朝・日親善のための地域住民たちとの活動に力を入れることにより、分会事務所建設費の一部を倉敷市が負担するようしました。
これらの経験は、分会が同胞たちを代表して活動するならば、行政当局もそれを尊重し、また分会同胞たちが地域社会への奉仕活動を積極的に行うならば、広範な日本人民たちが私たちを理解し、支援してくれるということを示しています。
(3)つぎに、分会は祖国の富強発展と統一のための活動を新たな情勢の要求にそって、いっそう力強く行っていかなければなりません。
金正日総書記の指導のもと、最近わが国を取り巻く情勢は大きく好転しています。先日、ベルリンで行われた朝米会談の結果、米国は朝鮮戦争以来、実施してきた対朝鮮経済制裁の解除を発表しました。
北南関係でも北南労働者サッカー大会と統一バスケットボール大会が開催されるなど、過去に見ることのできなかった統一機運が高まり、金正日総書記は再び南朝鮮現代グループ名誉会長一行と会見しました。
私たちは、民族史に新たな時代が到来するという大きな希望を抱き、祖国の強盛大国建設に寄与する活動を広範な同胞たちを網羅した運動として進めていかなければなりません。
また、世代が交替しても、祖国統一を望む熱い気持ちが新しい世代の同胞たちに引き継がれ、民族の宿願である祖国統一を1日も早く実現するために力を合わせていくようしなければなりません。
3 「愛国愛族分会創造運動」をいっそう力強く展開することについて
みなさん、同胞たちの生活と愛国事業は、ひとつの心で知恵と力を合わせ、新しいものを創造していく同胞大衆運動として前進します。
振り返ってみれば、在日朝鮮人運動の歴史は祖国解放直後「力のある人は力を、知識のある人は知識を、お金のある人はお金をだそう」というスローガンのもとに始まり、総聯結成後に60年代初頭の「模範分会創造運動」、80年代から展開した「愛国栄誉旗獲得運動」へと、代を継いで世界の海外僑胞運動のモデルを創造してきました。
とりわけ、金正日総書記が総聯と在日同胞に送ってくれた歴史的な書簡と綱領的な教示を高く掲げて、「引き継ごう愛国愛族伝統、ウリ分会チャラン(誇り)運動」「ウリ分会一つのトンネ運動」「訪ねよう、会おう、広げよう、同胞サラン(愛)運動」など、支部と分会、団体ではそれぞれの運動に呼び名を付け、内容と形式も企画して展開する大衆運動の新しい芽がたくさん育まれました。
「愛国愛族分会創造運動」は、まさに同胞たち、とくに新しい世代が自ら創造したこのような多様な運動をすべて包括し、一つの大きな流れとして結集し、総聯と同胞社会の新たな歴史を開拓していこうとする運動です。
「愛国愛族分会創造運動」の基本精神は同胞愛です。
同胞愛で結ばれ互いに助け合う仲睦まじい同胞トンネをつくることを基本目的とし、分会に住む総聯、民団、未組織、日本国籍所有の同胞など、老若男女すべての同胞が一つ屋根の下に暮らす隣人として、一つの家族のように参加することを目標とする幅広い運動です。
また、この運動の主役は家庭と同胞社会の頼もしい柱でもある新しい世代たちです。総聯中央は、この基本精神と目的、幅広い参加目標と主役に対する要求が一致するなら、各単位ごとに運動の名称と内容、形式はそれぞれの特性と自立性、創意工夫を生かし、運動を多様に展開することが望ましいと考えています。
ここに、これまでの大衆運動を発展させた「愛国愛族分会創造運動」の重要な特徴があり、同胞生活密着型、新しい世代中心型、幅広い同胞参加型の新しい分会のモデルを創造しうる活力があると確信しています。
「愛国愛族分会創造運動」を力強く推し進めていくためには、分会長、分会委員たちの役割が重要です。
総聯東京・足立支部の本木六分会と女性同盟京都・南支部の東和分会、朝青福岡・小倉支部の黒原・白銀班などの模範が示しているように、なによりもまず分会長、班長が中心となり、委員たちが会議と学習を定期的に、中断することなく行わなければなりません。
分会委員たちが会議と学習をしっかりと行い、祖国のニュースや総聯の運動方針、同胞たちの声をよく知り、年間目標と計画を明確に立て、みんなで協議し役割分担を実行すれば、分会が同胞たちの支持と信頼を受け、活気にみちて活動するようになります。
また、分会長、分会委員たちが1世同胞たちの伝統を大切にして守っていくだけでなく、次期の分会長や分会委員を育て、老・壮・青の代を引き継いでいかなければなりません。
分会には、同胞社会の長老や組織活動家、商工会、青商会、朝銀の役員、教員など、影響力と専門知識、資格と経験をもった同胞たちが暮らしています。
そのような人たちが分会長を支え、同胞生活部長、教育部長、文化部長、国際部長などの役職に就いて活動すれば、同胞たちにいっそう奉仕できるし、地域の日本の人たちからも信頼される力強い分会となるでしょう。
この会場で今日と明日にかけて、日本各地の分会と団体から様々な経験が紹介されます。
それら貴重な模範を私たちみなが学び、ともに自らの活動に積極的に生かしていきましょう。
私は、金正日総書記の賢明な導きのもと、21世紀の幕が開ける2001年に開催される歴史的な総聯第19回全体大会をめざし、愛国愛族の旗を高く掲げて新世紀の分会のモデルを創造していくことをみなさんに熱烈にアピールし、この報告を終えます。