本のプレゼント/10人に


山なんて嫌いだった/市毛良枝 著

 筆者初の書き下ろしエッセイ。見出しも刺激的だが、「10年前に山に登っていなかったら、女優を辞めていたかもしれない」(「あとがき」)という言葉は、女優市毛良枝ファンには衝撃的とも言える。

 「山は、自分の力で一歩踏み出さなければ、誰も登らせてくれない。どんな人も対等に、やったことが、やっただけ自分にかえってくる」。

 山に下界の社会的地位を持って登ってはならないと忠告する人がいたが、芸能人としてではなく、一人の普通の人間として山と、その仲間たちに接したから言える言葉だろう。甲府の駅ビルの中で寝ようとした話は、まさに一登山者の行動である。山と自然の魅力を描いて清々しい。

 定価=1400円+税。発行所=山と溪谷社。東京都港区芝大門1−1−33。TEL 03−3436−4046。

 

落ちこぼれてエベレスト/野口健 著

 外交官の2男として生まれ世界各地を転々。学校の環境になじめずイギリスの立教英国学院高校1年生の時、停学処分に。停学中の旅の途上で植村直己氏の「青春を山に賭けて」に出会い、生きる目標ができる。

 「いつも背伸びをしていれば、いつかは背が伸びる」と世界最高峰エベレスト(サガルマータ)登頂を目指す。今年5月、25歳、3度目の挑戦で成功。

 栄光の軌跡ではなく、敗北、失敗、挫折を繰り返しながらも7大陸最高峰の世界最年少登頂を達成した冒険家の25年間の人間としての闘いが描かれている。

 夢を持ち、挑戦し続けることの素晴らしさが感じられる。

 定価=1470円。発行所=集英社インターナショナル。東京都千代田区神田神保町2−17−10。TEL 03−5211−2632。

 

応募方法

 出版社の寄贈で、抽選で読者5人ずつにプレゼント。はがきに希望書名と、〒住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、朝鮮新報日本語版「健康・趣味」担当宛(TEL 03−3260−5839、内線449)。29日必着。