それぞれの四季/「ああ、運動会」
李政愛(リ・ジョンエ 西東京朝鮮第2初中 教員)
運動会が終わった。本校運動会の種目には、「教師、生徒対抗リレー」というのがある。担任の中級部3年生を相手に走って、私のところで大きく引き離されてはみっともないかなと、ランニングシューズを奮発し、密かにミッドナイトトレーニングと相成った。1ヵ月程がたち、体勢は万全、「いざ鎌倉」と当日に臨んだのに何たる理不尽、前の種目で走ったときに、左脚が吊ったのである。本番のリレーで相手の生徒と手をつなぎ何とかゴールした私に同僚は言った。「ほほえましいパフォーマンスでしたね。生徒に手を引かれて走る姿は」。(善光寺参りではない)ああ私の無念をよそに競技は進む。
私の付焼刃は見事はがれ落ちたが、例年にない猛暑の中で生徒たちはよくがんばった。
急病で倒れた級友の替わりに、選手宣誓の大役を果たした男子生徒、徒手体操の責任者たち、練習後の掃除やグラウンド整備の時、汗ビッショリになって受け持ち以上の働きをした生徒たち、その努力が実ってか、当日は晴天に恵まれグラウンドは、沢山の笑顔であふれた。最後の種目の綱引きで、席に戻って下さいというアナウンスも聞こえぬのか、父兄たちは応援の旗を振り続けた。ウリハッキョの運動会は、生徒、教師、父兄、同胞たちのお祭りである。そこには、1世も居る、2世も3世も5世も居る稀有の場なのだ。
閉会式が終わって何人かの生徒たちが泣いていた。大きな行事が終わり、卒業まで後、半年。勝っても負けても良い。生徒たちが本気でがんばれる場を、一つでも多く作りたい。