ニュースの眼/南当局、対北経済交流50億ウォン支援を決定
クリントン米大統領が対朝鮮経済制裁の一部緩和を発表(9月17日)した後、朝鮮アジア太平洋平和委員会(ア太委)と現代グループ峨山との間で、工業団地造成に関する合意書が採択(1日)されたのをはじめ、駐南朝鮮米商工会議所の投資調査団派遣、南朝鮮当局の一般企業の対北経済交流支援(21日)など一連の動きは、朝鮮への投資ブームに火がつき始めたことを想起させる。
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南朝鮮当局は21日、南北協力基金3325億ウォンのうち50億ウォンを活用して中小企業などの対北経済交流を支援する方針を決めた。これは「南北交流基金法」が制定(90年8月)されて以来、事実上初めて一般企業に基金の貸し出しおよび支援を認めたもの。朝鮮が公式に要請した場合に限ってのみ政府次元の支援が可能だというこれまでの立場を180度転換させたと言える。
この政策転換について南朝鮮のマスコミは、「『ペリー報告書』発表以後進展を見せている朝米関係と歩調を合わせるための措置で、もう一方では鄭周永現代グループ名誉会長と金正日国防委員長の会見以後、現代グループを通した対北経済協力が活性化する兆候を見せていることから得た自信感も反映された政策基調の変化」(東亜日報22日付)と伝えている。
また統一部の当局者は、「当局対話を急ぐよりも民間交流協力の増加にもう少し拍車をかけて、逆に当局間対話が不可避な状況を作っていこうとするもの」(同紙)と説明している。
しかし、こうした見解をう呑みにするには、疑問が残る。昨年および今年、北京で行われた次官級会談で、南側が離散家族問題を肥料と引き替えにするという相互主義にあくまでも固執した経緯があるだけに、今回の政策転換を自信の現れというだけでは説明できないのだ。
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考えられるのは、米国の対朝鮮経済制裁緩和によって、対朝鮮投資のメリットが増大し、当局間対話と経済協力をリンクさせるというこれまでの政策を、南朝鮮当局がもはや維持できなくなったことではないだろうか。
その一つが駐南朝鮮米商工会議所の対朝鮮投資調査団の派遣。同会議所がかねてから対朝鮮進出計画を持っていたことは既報(20日付)の通りで、南朝鮮当局が従来通り一般企業の対北経済交流を制限していると、南朝鮮企業は、また米日の後じんを拝することになりかねない。
米商工会議所の最大の目的は、創業者メリットだ。朝鮮には優秀な労働力があり、鉱物資源が豊富なことは、すでに知れ渡っている。その人材と資源、場所を先に確保しようというのである。
もちろん米企業は、リスクを軽減するために南朝鮮企業を伴った対朝鮮投資を計画している。しかし、その際の経済交流は、米の主に対して南朝鮮の従という構図でしかない。
かつて南朝鮮企業は、安い労働力を売り物に輸出を伸ばしてきた。しかし経済の発展とともに南朝鮮労働者の賃金が上がり、労働集約型産業は、国際競争力を持たなくなった。そこで、中国やマレーシア、タイなど新興工業国への進出をはかったが、それらの国ではすでに米国、日本の企業が主要な地位を占めており、南朝鮮は後じんを拝さざるを得なかった。
このような二の舞を演じたくないという思いが、南朝鮮企業の対北経済交流の活性化となって現れていると言えよう。
南朝鮮のある大企業の経営者は、対朝鮮投資のメリットを(1)日本という成熟した市場があり、(2)中国という巨大な市場があり、(3)しかも南北が同じ言語を使い、(4)陸続きであると指摘する。
そして米国の対朝鮮経済制裁の緩和によって、世界でもっとも大きな消費市場への道が開かれたことは、今後の対朝鮮投資がさらに拡大することを予測させる。(元英哲記者)
南朝鮮当局が発表した対北経済交流事業支援
(1)南北経済協力事業(2)委託加工事業(3)単純交易事業の3分野にわたって南北協力基金から50億ウォンを年6%の利子で融資するというもの。貿易金融(年利6〜9%)、海外投資金融(8.0%)、市中銀行優待金利(7.4〜11.9%)に比べても最低金利。経済協力事業では、農漁業分野の経済協力者や物流費用の節減など経済協力条件改善事業者を優先支援対象者と規定し、貸出期間は7年。委託加工事業では原料、資材と施設の搬出資金を対象とし、休眠設備の搬出は優先支援対象。貸出期間は搬出物資によって1年から3年。単純交易事業では貸出申請日基準で朝鮮との取り引き実績があり、朝鮮との直接契約、衣食住、保健関連搬出、契約栽培用資材搬出などが優先支援対象で貸出期間は1年。