聞いてほしい!倒産の話(4)/「八起会」の野口誠一会長

感謝の気持ちを忘れずに


 倒産人間のいくつかの共通点をお教えします。当てはまる点があったら即、直していただきたい。

 まず、自己満足型という点。自己中心で自分勝手。「朝から晩までちゃんと会社にいました」と自慢する人がいるが、いるだけだったら犬猫だっていますよ。頭を使って苦労して、初めて努力したというんです。

 倒産人間は人脈作りの努力もしません。人間、伸びていくのも堕落するのも仲間次第。できるだけ良質な人とのお付き合いをしてほしい。ところが、倒産人間は自分より儲かっていない貧乏人を好きになる。お世辞を言われたいからです。

 さらに、数字をまったく読めない。どんぶり勘定です。収入の数字は分かっているくせに、なぜか支出の数字を読めない。それで、肩書は常務、専務です。聞いてあきれますよ、数字を知らない専務なんて。

 金融関係との付き合いも下手ですね。だから見放されて倒産する。銀行の貸し渋りなんて今に始まったことじゃないでしょう?

 倒産人間にはお人好しも多い。選択眼がないから、物の善し悪しが分からない。人に頼まれたら嫌と言えない。いくら財産を残したって追い付きません。トップには向きませんね。

 それから、夫婦不仲もあります。皆さんの中で家庭円満という人、絶対に大丈夫です。企業と家庭はそれほど密接なんです。ところが、家庭を疎かにして商売だけに熱中する人がいる。儲かれば儲かるほど、奥さんではなくお金とばかり話をしているでしょう? 結婚記念日に何を贈ろうか、そんなこと考えもせず、商売だけうまくやろうなんて、虫が良すぎますよ。

 最大の共通点は、感謝の心がまったくないことです。皆さんが今あるのは、能力があるからですか? そう思ったら失敗の始まりです。お客さんのおかげ、取引先のおかげ、下請会社のおかげ、社員のおかげ、家族のおかげ、友達のおかげ。すべて、おかげです。何年かかっても結構ですから、感謝の心、これだけはものにしてください。

 再起した人には共通点が4つあります。朝が早い、家族円満、たいへん素直、そして、背筋が常にぴしっと伸びている。これと逆の人、危ないですよ。

 企業3社のうち1社は必ず倒産予備軍であるということを、決してお忘れにならないように。皆さんのますますのご発展を願います。(おわり)