経営トレンド/ペイオフ


 「Pay off」(ペイオフ)は、一般用語としては「借金などを精算する」「全額支払う」「給料を払って解雇する」「仕返しする」と訳されるが、金融用語では預金の払い戻しを意味する。

 金融制度改革の一環として2001年4月1日から実施されるもので、金融機関が破たんし、預金の払い戻しが出来なくなった場合、預金保険機構が代わって預金者に1人1金融機関当たり元金1000万円(利息分は含まず)を上限に保険金を支払うことで預金を精算する。金融機関は毎年、同機構に預金量の0.084%を保険料として納付しており、これが原資となる。

 2001年3月31日までは、預金保険制度の特例として元金全額と利息の支払いが保証される。しかし翌日からは、金融機関を選ぶ目が問われる「完全自己責任時代」になるというわけだ。

 ちなみにペイオフ実施後は、外貨預金、譲渡性預金(NCD)、元本補てん契約の無い信託(ヒット)、金融債(利付金融債、ワイド、ハイジャンプ)などは全く保護されないので要注意。

 2001年4月のペイオフ解禁については、賛成、反対の論争が絶えない。

 日本では1000万円以上の預金が全預金額の約半分を占めるというのに、ペイオフ実施について知っている人は1000万円以上の預金者の約4割(日銀調査)に過ぎず、時期尚早論が出ているのだ。ペイオフ解禁まで、あと524日。(尹弼錫・朝大経営学部長)