言いたい・聞きたい/「どうする結婚」匿名座談会
「結婚は第2の人生」から「結婚は墓場なり」まで、古今東西、結婚観には幅がある。成功もあるだろうし、失敗もある。「男女が出会って、結ばれる」という営み。これが一筋縄でいかないご時世だ。その難しいテーマで、同胞の若者4人に話し合ってもらった。(構成 朴日粉記者)
A | 女性、34、会社員 |
B | 男性、28、朝青員 |
C | 女性、31、会社員 |
D | 男性、30、自営業 |
自分でつかめ、「運命の人」
C 今、仕事が面白いし、相手もいないし…。非婚のつもりはないが、とりあえず、焦ってもいない。
B 末っ子なので、のんびりしていたら、上が全部片づいて、親もうるさくいうようになった。理想のタイプは、もちろん同胞女性で、価値観が同じ人。
D 大学を卒業して、夢中で働いていたら、いつの間にかこの年になった。親戚に、日本人と結婚をした例もある。反面教師的な意味も込めて、結婚するなら同胞と、という意識は身に染みている。
A 私自身はもちろん同胞と結婚したいと願っている。でも、客観的に考えると、国際結婚はダメ、とは言えない。実際、統計を見ても、4人の内、3人国際結婚している。しかし、歴史観、風俗、習慣、食生活。それに子供が生まれたら教育の事もある。考えただけでも大変なことが多い。国際結婚を否定するというより、民族結婚の良さをもっとアピールして、そのチャンスを増やしたり、環境を整備してもらいたい。
B 朝青にくる青年たちは、みんな民族結婚を望んでいる。まず、国際結婚は、感性があわない、ということですね。
C ある意味でそう考えられるのは、幸せな若者たちだ。現実には、国際結婚の割合は非常に高い。日本社会に埋没して、同胞とのふれあいの少ない青年たちに、民族結婚を勧めていかないと。
D 頭の痛い問題。私たちの世代を含めて、結婚観が大きく変容しつつあると思う。国際結婚のこともそうだが、「結婚適齢期」自体も多様化しており、男女とも30歳を過ぎてもあまり、焦らない。焦っているのは、周辺の人たちだし、親、兄弟だね。
B とはいっても、結婚しないで、1人で生きていきたいとは、思わない。人を愛し、苦楽を分かち合ってこそ、幸せな人生がおくれる気がする。民族色あふれる家庭を築いて、お互いに安堵できる場所をつくりたい、とも願っている。
A 結婚そのものより、異性同士、敢えて言えば、人間同士のコミュニケーションの取り方がへたな人も多い。人に対して、もっと心を開いて、傷ついてもいいから、飛び込んでいく情熱が足りないのでは。
C それもあるけど、やはり私の場合、小さい時、法事、正月、盆などで、オモニが1人、一心不乱に働いている姿やアボジや男たちが何もしないで、飲んだり、騒いでいる姿を見て、これは違うんじゃないかと思いました。自分はそうなりたくない、という反発が強かった。
D 確かに同胞社会には、古い因習も残っているが、若い世代にはもうそれにとらわれる人は少なくなっているのでは。
A 1世のオモニたちのように、一度写真を見せられただけで結婚するという時代ではない。「女は家庭、男は仕事」というしくみは、もう崩れている。家計からも無理な話だし。
C それに何よりも、男女が対等なパートナーという意識を持ってこそ、豊かな愛情を育むことができると思う。男が上、という儒教意識が根強い男性には、誰も魅力を感じない。
D 要は、生き方の問題。朝鮮民族にとって、21世紀は正念場を迎える。分断から、連邦、統一へと向かう世紀だ。こんなダイナミックな時代に生きる朝鮮人として、男女とも素晴らしいパートナーを見つけて、次の世代にバトンタッチしたいものだ。
自然体で向き合ってこそ
/柳玉姫(53歳、群馬同胞結婚相談所所長)
結婚、それは、人生のすばらしいパートナーを探す事だと思う。朝鮮人として、原点に立って、自然体でこの問題に向き合って欲しい。
ある1組のカップルの出会いから、結婚に至るプロセスを見守ってきたことがある。
男性は34歳。父母の願いは絶対に同胞との結婚だった。何度も、同胞女性と見合いを重ねてきたが、うまくいかなかった。あせった両親は、息子が30代を過ぎた頃から、「日本人でもいいから早く相手を見つけなさい」と言うようになった。
本人も周囲も気を揉むうちに、同胞結婚相談所主催の「出会いのパーティー」の場で、「運命の人」と出会い、まさしく電撃的に結婚式と相成ったのだ。
その結婚披露宴のスピーチで、新婦のアボジが「娘の理想の結婚相手は、『長男は嫌、遠い所も嫌』というものだった。この度、その理想とは正反対ではあったが、良い縁に恵まれて、はるばる愛知から群馬に嫁いできた」と、しみじみと喜びを吐露していた。
近頃の傾向として、男性は、30歳を超えると結婚を真剣に考えるようだ。女性の場合は、30歳、35歳を過ぎても自分が結婚したい時が「適齢期」だと考えている。相手に対しても、高学歴、高収入、背の高さ、生活レベル、本籍地まで吟味する。自分が資格などを持つ場合は、非婚の傾向が強い。
なかなか難しい問題もあるが、枠に囚われずに積極的な結婚観を持って、素敵な出会いの場にまず、出て来ませんか。そこから、「運命の扉」を開いてほしいと心から願っている。