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心身の治療に効果/注目の「音楽療法」
音楽の力で心身の治療効果を得ようとする音楽療法が、注目を集めている。
老人医療のほか、精神病治療、障害児教育、ホスピスなどで音楽療法は大きな成果をあげている。外国では救急医療にも音楽が用いられている例がある。昏睡状態の患者に音楽を聴かせると、その刺激が覚醒作用をもたらし、意識の回復を促すことがあるという。
音楽療法は本来、専門の教育を受け、経験を積み、しかるべき機関に認定された「音楽療法士」によって行われるべきだが、日本でも音楽療法士の国家資格化や、音楽療法の保険点数化を目差した動きがある。
ことさら病気にかかっていなくても、心身が疲れたときに音楽を聴いて和んだり、カラオケで発散したり、といった経験は誰にでもあるだろう。これも広くとらえれば音楽療法と言える。最新の研究では、音楽を聴くと免疫力がアップするという報告もある。
リラックスに最適/症状別のクラシック
また国立音楽大学教授で医学博士の村井靖児先生は、「ストレスがはびこる現代社会に暮らすわれわれにとって、一番の健康法はリラクセーションと言えるかもしれません」とし、リラックスのための音楽療法を勧める。
そしてリラックスするためにはまず、好きな音楽を聴くことと指摘する。しかし、何を聴いてよいか分からない人には適切な音楽を用意することが健康維持の助けになるとし、どんな気分のときにどんな音楽がよいか、次のようないくつかの例を挙げている。
「イライラしているとき」=ラフマニノフの「ピアノソナタ第2番の第3楽章」。リストの「ピアノソナタ ロ短調」。
「なかなか眠れないとき」=ブルックナーの「交響曲1〜9番」。バッハの「ゴルトベルク変奏曲」。
「不安や緊張で落ち着かないとき」=グリーグの「ペールギュント組曲」。ヨハン・シュトラウス父子の「ウィンナ・ワルツ」。
(「1010」第40号より抜すい。東京都公衆浴場業環境衛生同業組合発行。草隆社編集=東京都文京区本郷4−1−3、TEL 03−3818−2271)