春夏秋冬


 ヨーロッパでは、観客が演奏家やスポーツ選手を育てると言われている。素晴らしい演奏、プレーをすれば惜しみない拍手を送るし、手を抜いたり、怠慢なプレーをすると立ち所にブーイングを発するのだが、どうしてどうして朝鮮人もヨーロッパ人には負けていない

 ▼10年前の夏、平壌で行われたサッカー・ワールドカップ予選、朝鮮対日本の試合を観た。正確には超満員のため競技場には入れず、外で歓声だけを聞いたのだったが、その熱狂ぶりはヨーロッパの比ではなかった。市民が選手を肩車に乗せて、大はしゃぎで勝利を喜んでいた。逆に先ほど行われた親善試合で南朝鮮サッカーチームが日本に負けたことに、市民1人ひとりが「総監督」になって、敗因を分析し、チームの再生計画を立てている

 ▼本紙がリニューアルされて1ヵ月が過ぎた。その間、日本、南朝鮮のマスコミが本紙の「変貌ぶり」を伝え、読者から様々な反響が寄せられた

 ▼書いた記事がどのように読者に伝わっているのか、読者がどのようにとらえているのか、書き手にとって一番気にかかるところだ。で、読者から「あの記事は良かった」とか、「読んだよ」という声を聞くと、気持ちがウキウキする。半世紀の間、生きた年齢になっても、それは変わらない

 ▼同時に読者から教えられることも多い。ある国際結婚者の意見に自分の狭量さを思い知らされたし、ある読者からの指摘に思慮の足りなさを痛感した

 ▼読者に迎合しようとは露ほどにも思っていないが、鍛えられたいと切実に願っている。どんどん意見を出して朝鮮新報を育てていただきたい。  (元)