美への誘い/京都・高麗美術館
朝鮮の陶磁器や絵、タンス、鏡台、膳などの家具類には、植物や鳥、動物などの文様が描かれた物が多い。今回の展示では、その中でも花枝文(かしもん)に焦点をあてた。花枝文とは読んで字のごとく植物のことだ。12世紀から今世紀初期までの32作品が展示されている。
女性の部屋をイメージした「華やかな花枝文の世界」のコーナーでは、19世紀作の華角張(かかくばり)箪笥が目を引く。
木目に色鮮やかな絵が描かれているのだが、この材料が赤牛の角。気の遠くなるような工程を丹念に重ねてやっと出来上がる。今よりも時間がゆっくり流れていた時代だからこそ作れるものではないだろうか。
ブドウの絵ばかり描くことで有名な画家、崔●煥(チェ・ソックァン)の「葡萄図」(1882年)は、一つ一つの実の微妙な色の違いまでが見事に描かれている。実のたくさんなるブドウには子沢山、子孫繁栄の意味があるが、彼がその願いを込めて描いたかどうかまでは定かでない。
このように文様に願いや意味が込められた作品が並ぶ「願いを込めた花枝文」、「陶磁器に描かれた花枝文」のコーナーも設けられている。(聖)
12月24日まで。月曜休館。一般500円、大高生400円、中小生300円。TEL 075−491−1192。