私の会った人/喜納昌吉さん
沖縄の誇る世界的ミュージャン。「泣きなさい、笑いなさい……」で始まる代表曲「花」で知られる。この歌はアジア全域で爆発的な人気を呼んだ。「みんな自分の国の歌だと思っていますよ」と破顔一笑した。
昨年は平壌、先日はソウルでもコンサートを開いた。「沖縄の心と音楽で、朝鮮の平和のために役立ちたい」という思いが常にある。朝鮮への食糧支援のコンサートにも取り組んでいる。
「地球上の人の命はすべて、大切で、平等だ。困った時はお互い様です」
喜納さん自身にも父母から繰り返し聞かされてきた食糧難の体験がある。「太平洋戦争で、沖縄は焼け野原となり、イモの葉で飢えをしのいだ。1歳の時、栄養失調で2、3ヵ月、入院したことがある。医者も危ないというほどの重体だったが、父が毎日捕ってきてくれたカエル10匹程を母がスープにして飲ませてくれたお陰で助かった」。
共和国の子供たちが、栄養不足に苦しむTV映像を見る度に、他人事には思えず、一刻も早く支援をしなければという焦燥感があった。
「沖縄には、他人を痛めつけたら眠ることはできないと言うことわざがある。『北朝鮮有事』説を流す風潮にのらず、平和な東アジアを築くために一緒に頑張っていかなければ……」
コンサートの度に朝鮮民謡アリランを歌い続けてきた。
「僕の大好きな歌。歌う度に、早く統一して、みんな幸せになってほしいと思う」(粉)