1世が育て、日本人に譲った苗/唐辛子が2m50cmに
東京・大田区に住む小林政博さん(70)宅の庭に今年4月初に植えた唐辛子の苗が2メートル50センチ以上に育ち、赤く染まった実が鈴なりで、近所の話題になっている。
この唐辛子の苗は、隣家の申文雄さん(57)が譲ったもの。申さんは知人の元平次さん(58)から分けてもらったという。
苗の「出所」は、埼玉県児玉郡美里町。元さんの夫人、朴年姫さん(52)のアボジ、朴正用さん(83)が約300坪の土地で日本の農家の人に手伝ってもらいながら趣味で耕作している。
朴さんは「美味しいものは皆で味わうべき」と、収穫したじゃがいもや白菜、玉葱などを知り合いに配る一方、孫が通っていた東京朝鮮第6初級学校(東京都大田区)にも無料で提供し、学校では青唐辛子をバザーで販売し収益金を運営費の一部にしたこともある。
小林さん宅を訪れる友人らは立派に育った唐辛子を見て、日本ではせいぜい腰の高さほどにしかならない、こんなに大きくなったのを見るのは初めてと一様に驚く。
一般の同胞家庭では、青唐辛子は味噌につけて食べるが、小林さん宅では、成熟した赤唐辛子を収穫し、調理用に使う。今月末には収穫し、白菜を漬けるときに使う予定だ。また、赤唐辛子には虫がつかないのでヌカ味噌にも入れる。
小林さんによると、これほどに育った秘訣は、まず肥料、次に日光、そして愛情を込めた手入れだという。とくに肥料には気を使った。庭に穴を掘り、落ち葉を溜め、木酢液をまき混ぜて腐葉土を作った。3〜4回繰り返すと虫もわかない。ミミズは大量に発生するが、それだけ土壌が豊かだ。
小林さん宅では今年、約3坪の土地にピーマン、インゲン、ミニトマトなども植えたが、一番の収穫は唐辛子だった。