世界一の健康漬け物キムチ/朝鮮料理に秘められた効用


3大健康食品/朝鮮人参、ゴマ、ニンニク

かぜの予防、ビタミンC補給
新陳代謝促進し疲労回復作用

 今、日本でもキムチの人気が高まっている。百貨店の食品売り場では、ほとんどキムチを売っており、都内でも最近、様々なキムチフェスティバルが開かれるようになった。

 「キムチは世界一健康に良い漬物」「世界の3大健康食品は朝鮮料理の食材である朝鮮人参、ゴマ、ニンニク」と講演などで強調している韓啓司先生に「朝鮮料理に秘められた効用」について聞いた。(文責編集部)

食文化に誇りを

 民族性を育むうえで言葉、文化、芸術も当然大切ですが、食文化も欠かせません。民族性も食べ物で形成されるといえます。

 朝鮮料理は世界に誇るべき朝鮮の文化です。とくにキムチは世界一健康によい漬物といえます。

 朝鮮では秋にキムチを漬けて、春まで食べます。その最大の目的は、冬の間、かぜの予防に必要なビタミンCの補給源です。免疫性を高めカゼをひきにくくします。日本では蜜柑を食べてビタミンCを補強しています。

 キムチの大きな特徴は具の多さです。朝鮮独特のものにヤンニョン(薬念)があります。日本の調味料と薬味が合わさったものです。

 キムチの代表がペチュキムチですが、白菜に大根の千切り、粉唐辛子、ニンニク、ショウガ、塩辛などを混ぜて漬けます。漬け発酵させることにより、これらの材料に含まれる栄養価が増強されます。

 塩辛でアミノ酸のうま味が付加され、唐辛子が塩辛の生臭さを抑え、脂肪の酸敗を防ぎます。さらに唐辛子とニンニクは、キムチの中のビタミンC破壊を防ぎ、整腸作用をもつ乳酸菌の繁殖を活発にする作用をします。

 乳酸は新陳代謝を促進し疲労回復作用があります。白菜には植物繊維が多いので便秘の改善、コレステロールの低下作用、大腸がんの予防効果があります。

 たくわんや奈良漬けなど日本のお新香は洗って実しか食べません。ピクルスもそうです。朝鮮ではキムチの漬け汁も料理に使います。汁の中に最大の栄養分が入っているからです。漬け汁まで食べる漬物は他国に類を見ません。日本人はキムチの味がすればよく、一夜漬でもよいようですが、発酵させない一夜漬を私は本当のキムチとは思いません。

基本的な食材

 今、健康ブームの中で健康食品への関心も高まっていますが、世界の3大健康食品は朝鮮人参、ゴマ、ニンニクです。これらは朝鮮料理になくてはならない食材です。

 その効用について見ましよう。朝鮮人参の主成分はサポニンで、ストレス解消、スタミナ増強、血圧異常を正常化、動脈硬化予防、脳血栓予防、抗がん作用が証明されています。

 ニンニクに含まれるアリシンには、ペニシリン同等の抗菌作用があり、これによってキムチは腐らず12月に漬けても翌年の3月までもちます。生レバーをニンニクのたれをつけて食べるのは、ニンニクに殺菌力があるからです。

 ゴマには動脈硬化や抜け毛予防の効果があり、昔から不老長寿の食品の代表と言われています。ゴマ油をレバ刺しのタレに使ったり、餅や海苔に塗って食べるのが朝鮮料理の特色です。

 私は、とくに夏の間にキムチチゲを1杯食べなさいとすすめます。夏バテせず、食中毒にもならず、冬になるとかぜの予防にもなると。キムチを一杯食べて健康に過ごしましよう。(韓啓司 医学博士、恵クリニック院長、TEL 03・3980・0378)