コンピュータ「2000年問題」どう対処?/高億七さん(ソフト会社経営)に聞く


 読者のみなさんは「2000年問題」に対応済みだろうか。コンピューター・プログラムが、2000年以降の日付に対応しない場合にシステムが正常に機能しないという「2000年問題」(Y2K)は、経済活動や日々の暮らしに多大な影響を与えると言われている。日本の政府機関や大企業で数年前から対応が進められている反面、中小・零細企業の対応の遅れが問題になっている。2000年を目前にした今、同胞企業や家庭でパソコンを使う方々へのアドバイスを、横浜市内でコンピューターソフト会社を経営する高億七氏(47)に聞いた。

 

―Y2Kに対する、中小・零細企業の対応の遅れが問題になっているが。

 中小・零細企業の対応が遅れているのは、「自分たちに関係ないこと」と思っているからではないか。

 「2000年問題」で、中小・零細企業が受けると予測される、被害の状況を上げると、(1)金利、給与計算、請求書、在庫のデータが狂う(2)日数計算・日付け入力エラーが起こり、受発注や生産ラインが止まる(3)売掛金や買掛金のデータが漏れ、資金繰りの正確な情報をキャッチ出来なくなるーなどだ。正常な経済活動が出来なくなるのだ。

 取引先のコンピューターが誤作動した場合も念頭におくべきだ。また自社の対応の遅れで、取引先に迷惑がかかる場合もある。信用問題にもなりかねない。「2000年問題」の影響をしっかり認識することだ。

―では、どうすればいいのか。

 中小・零細企業の対応が遅れている背景には、コンピューター管理の専任者がいない、システム改善に費用がかかることなどがある。2000年を目前にした今、出来ることは限られているが、最低限、業務に差支えない程度の準備はすべきだ。

 まず、会社で使っている機器類のメーカーに対応策を問い合わせてみよう。大多数のメーカーは対応策を持っているはずだ。

 特に中小企業では、オフコン(オフィスコンピューター)と呼ばれる機器を使っている場合が多いが、オフコンはメーカーごとにOS(基本的なソフト)などの互換性がなく、問題が多い。最善策は新しいシステムに換えることだが、現実的に難しいため、まずメーカーの対応策に則して、実行しよう。ソフトとハードの両方を確認すべきだ。

 危機感を煽るわけではないが、「2000年問題」は「おこらない」のではなくて「おこりうる」事態だ。専門家でも何が起こるのか完全に予測できない。よって、会社にとって重要なデータをリストアップし、フロッピーディスクにバックアップすべきだ。問題が起きた後にチェックするデータがないとなっては、対処の仕様がない。

 取引先の対応もチェックし、起こりうる危険を把握しよう。自社が取引先にどういう影響を与えるかも調査すべきだ。

―実際に問題が生じた時にはどうすればいいのか。

 大多数のコンピューター会社は、24時間待機するなど緊急体制を整えているので、連絡先や時間帯などを聞いておこう。とくに日本の会社が一斉に業務を開始する1月4、5日は、パニックが予想されるので、緊急時の対策マニュアルも作る必要がある。総理府や自治体のホームページで詳しく報じているので一見してみよう。

 また3月の確定申告時には、大量の書類が必要になるため、今年1年分のデータもしっかり管理しておこう。一番良いのはこの機会に経営改善を図ること。月次ごとに経営分析をするなど、コンピューターを有効に活用し、会社の体質改善を試みることだ。

―家庭でパソコンを使っている場合はどうすればいいか。

 コンピューター会社から送られてくる資料を見たり、関連するウェブページを開き、対応すること。メールアドレスや重要なデータはバックアップしよう。データの管理が必要なのは、プロバイダーや関連業者に混乱が生じる場合があるからだ。(張慧純記者)