ここにも同胞企業
同胞の悩みに向き合いたい/プロの目で最適な物件を
不動産「鵬栄興産」李光鎬さん
東京都杉並区荻窪は、JR中央線と営団地下鉄東西線が乗り入れ、都心まで十分というベッドタウン。この荻窪駅周辺を中心に、杉並区内の幅広い物件を取り扱うのが、鵬栄興産株式会社である。
社長の李光鎬さん(63)は、この荻窪で不動産業を営んで30年のベテラン。メインは土地売買だが、賃貸物件のあっせんも若干だが行っている。
お客さんのほとんどは日本人だが、同胞もちらほら。「日本の業者を訪ねたら、国籍を理由に『ダメ』と言われ、うちを頼ってくる同胞は少なくないです」
「『外国人不可』という大屋さんは多い。この業界は、びっくりするほど保守的ですよ」。だからこそ、同じ同胞として、同胞の悩みに向き合える、真のプロの同胞不動産業者がもっと増えなければいけないと、李さんは主張する。
そんな李さんに、不動産業者を選ぶ際のポイントを聞いた。
もちろん、同胞ならば同胞業者の元に初めから来てくれるのがベストだと、李さんは言う。「同じ民族だけあって、懇意になって悩みに答えられるし、知識も確か。様々な複雑な問題に細心の注意を払い、プロとして最適な方法を選択してくれる。任せてくれれば安心ですよ」
それでも、地元に必ず同胞業者がいるとは限らない。日本の業者を訪れる場合が圧倒的に多いだろう。
その場合のポイントとしては、「外国人登録済証明書や実印を通じて、国籍はいずれ分かる。だから、最初の段階で国籍ははっきり言っておくこと。それで何か言われたら、その業者にはあまり良い物件は望めないと思ったほうが良いですよ」「最低限の専門知識は持って相談に行くこと。知ったかぶりは絶対にいけません」と、明快な回答を返してくれた。
ところで、荻窪の賃貸物件の相場は、ワンルームで7万円台、2DKで10万円前後。紹介する3つの物件は、価格、間取り、駅までの距離を照らし合わせて、申し分ないという。中でも駅から徒歩5分という好物件は、「この場所でこの広さ。12万5000円は相当お買い得」なのだそうだ。
「バブルの全盛期には、都心の地価が急騰し、中央線沿線なら高尾や青梅にまで通勤圏が広がった。ところがバブルの崩壊で、より近場へという『逆流現象』が起こった。多少高くとも都心により近い物件が、集中的に売れてますね」(柳成根記者)
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鵬栄興産 〒167―0043 東京都杉並区上荻1―10―5 TEL 03・3392・6301
良心的、親身な応対心掛け/朝・日業者のつながり大切
不動産「三協ホーム」朴炯冑
「同胞OKの物件ですか。うーん、難しいですねえ」。東京都墨田区と近隣の江東区などの物件を扱う、三協ホームの朴炯冑さん(57)は、開口一番、険しい表情を見せた。
不動産業を始めて3年足らずとあって、「手持ちの物件はまだ数少ない」。そのうえ、やはり外国人の入居に難色を示す大家さんが多いから、同胞に賃貸物件を勧めるのはなかなか大変なのだそうだ。
それでも、同胞が訪ねてくれば、もちろん親身に応対し、最適の物件を提供すると、朴さんは語る。
「同胞業者は、良心的な日本の業者との付き合いが多い。だから、自分の所に良い物件がなくても、そういう業者につてが利く。こういうつながりは大切なんです」
そんな朴さんは、「厳しい状況」の中、2件を紹介してくれた。
駅に近い物件が売れ筋であることを考えると、JR総武線亀戸駅から徒歩14〜15分というのは遠そうに聞こえるが、実際に歩いて見ると、思ったより距離感は感じなかった。
亀戸界隈の賃貸物件は全般的に高いらしく、「築年は若干古いが、その分、価格はお墨付き」なのだそうだ。
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三協ホーム 〒131―0032 東京都墨田区東向島2―27―1 TEL 03・3618・5146