大阪朝高、決勝で敗退/全国高校ラグビー府予選
前半互角、後半及ばず
第79回全国高等学校ラグビー大会大阪府予選を兼ねた今年度大阪高等学校ラグビー秋季大会の決勝戦(第1地区)が23日、東大阪市の近鉄花園ラグビー場で行われ、昨年に続き決勝戦に臨んだ大阪朝鮮高級学校(朝高)ラグビー部が、昨年度全国大会の準優勝校・大阪工業大学高等学校(大工大高)と対戦した。試合は前半、朝高が7―7の同点にもちこみ、勢いに乗ったが、後半リードを許し、14−49で善戦、健闘むなしく敗れた。
「今年こそ花園へ」――。会場には、朝早くから同校生徒、教職員を初め、学父母、ラグビー部のOBや卒業生、そして同胞らが続々とつめかけ、数千人にふくれあがった応援席は熱気で包まれた。
前後半、30分ハーフの試合は、前半6分に大工大高がトライ。ゴールも決め0−7でリードした。
しかし、「全面攻撃、全面防御」をモットーに試合に臨んだ朝高は、気迫と闘志をみなぎらせて相手の攻撃を封じながら反撃に転じ、21分に相手側ゴール前5メートル地点で反則で得たチャンスを逃がさず、ラックから出たボールを金孟善選手が見事トライ。ゴールも決め、7−7の同点に持ちこみ互角の戦いを展開した。
後半に入り18分にも、姜永寿選手がトライを決めたものの、次第に運動量と経験の差が表れ始め、大工大高に6トライ、6ゴールを許し、14−49で敗れた。
もう一度出直し
「力が足りなかった」
試合終了後、朝高ラグビー部の金信男監督は率直にこう語りながら、「昨年は決勝戦に進出することを、今年は決勝戦に勝つことを目標にしてきた。今日の試合を教訓に、もう一度出直して、来年こそはこの舞台で必ず勝ってみたい」と気持ちを新たにしていた。
昨年、朝高ラグビー部は同じ場所で、全国大会出場をかけて啓光学園(全国大会優勝)と対戦し、0−59で完敗した。
あれから1年。先輩たちから「夢」を託された15人の選手たちは、「技術的な面でひけをとっても、気迫では勝とう」(邵基学主将)と、一丸となって試合に臨んだ。
そのみなぎったファイトで、前半は同点までもっていき互角の試合を展開した。
だが、後半に入って大工大高がじりじりと引き離しにかかり、点数差は開いていった。
ノーサイドのホイッスルが鳴るまで、選手たちは気力をふりしぼった。
今回、敗れはしたものの、昨年の完敗から善戦。朝高ラグビー部の実力が着実に全国トップクラスに一歩一歩と近づきつつあることを証明したものといえる。
近い将来を確信
「強豪校を相手に、立派な試合をした選手たちをほめてあげたい。歴代チームの中で、一番強いチームだ」(朝高ラグビー部初代監督の金鉉翼氏、50歳)、「近い将来、全国大会に必ず出場できることを確信した」(東大阪市在住の高恭淑さん、42歳)。
敗れはしたものの、観客席を埋めた大応援団からは惜しみない拍手が送られた。
同点トライを決めた金孟善選手のアボジ、金太松さん(46歳)は「前半、互角の勝負ができたのは、日々の猛練習の結果だと思う。監督、コーチ、選手が一丸となり、そして学父母、同胞たちのバックアップがあったからここまでこれた」と述べていた。(千貴裕記者)