春夏秋冬


 唐辛子、にんにく、胡麻は朝鮮料理にはなくてはならない食材だ。とくに唐辛子抜きのキムチは考えられない。キムチは高麗時代からすでにあったが、当時は唐辛子は入っておらず、キムチは赤くなかった

 ▼唐辛子は中南米が原産で、まだ朝鮮に伝わっていなかったからだ。500年前、コロンブスの「新大陸発見」によって初めて世界に広まった。朝鮮には、李朝時代の17世紀ころに伝わったと言われる。キムチに唐辛子が使われ、赤くなったのはそれからだ

 ▼では、それ以前のキムチにはどのような香辛料が使われていたのか。それは胡椒だ。インドが原産で、数千年にわたって栽培されてきた。植物の味付けと保存に使われる乾燥した胡椒の木の実1オンスは、「金」1オンスと同じ価値があり、中世ヨーロッパでは胡椒は通貨としても使われ、これで税金が支払われることもあったという

 ▼1400年代後半、ヨーロッパの多くの探検家が海に出たのは、黄金とともに胡椒を求めてだった。コロンブスも「新大陸」で胡椒を懸命に探したが、見付かったのは唐辛子の一種、アヒだった

 ▼唐辛子にはカプサイシンという化合物が含まれ、口や喉に焼けるような感覚をもたらす。こうして、胡椒よりもさらに強い辛味が世界中の料理に加わることになる。マーボー豆腐、ジャージャー麺、キンピラゴボウ、カレーなどなど。これらの料理には唐辛子は欠かせない

 ▼カプサイシンは脂肪を燃焼させ、ダイエットにも有効とされる。このため健康志向ブームと合わせて、唐辛子をたっぷり使った朝鮮料理が若い女性の間でも人気上昇中とか。(喜)