そこが知りたいQ&A/年末年始、どのような南北イベントがあるの?
統一音楽祭、バスケなど/汎民連関連行事など(未確定)も
Q 年末、年始にかけて統一音楽祭など南北の統一イベントが目白押しだというが、どのような催しが予定されているのか。
A 音楽祭、バスケット競技、自動車ラリーの3つの文化イベントと、汎民連(祖国統一汎民族連合)が主催する行事がある。具体的には表に記した通りだが、これはあくまでも南朝鮮で発表された内容。
また南朝鮮では「2000年平和親善音楽会」を統一イベントの範疇(はんちゅう)に入れているが、クリントン米大統領の弟ロジャー・クリントン(ロック歌手)や米国のポリティックス・バンドなどが出演することから、厳密に言うと、南北統一音楽祭ではない。イベント名にある「平和・親善」は、朝米関係を連想させ、南北なら「和解・団結」が使われるはずだ。自動車ラリーも同じだ。
Q 実現の可能性は。
A ロジャー・クリントンが2日に平壌入りしているので、「2000年平和親善音楽会」の開催は、ほとんど間違いない。それからバスケット競技もすでに9月に平壌で第1回大会を行っており、合意もあるので、これも実現するだろう。
その他のイベントについては、まだ確定したとは言えない。とくに汎民連の行事は、同団体が南朝鮮当局によって「国家保安法」の「利敵団体」に規定されているから、当局が許可を与えないことが十分に予測され、その場合、板門店での南北・海外の3者共催は無理で、ソウルや平壌での分催という形になるのではないか。
Q 南朝鮮の新聞などは、その他の行事も確定したように報じているが。
A 南朝鮮では、すべての南北イベントが当局の許可制になっている。その手順は、まず事業計画書を統一部に提出して「南北協力事業者」の承認を受ける。これは「資格」だ。そして北側と合意すれば、その合意書を添えて、再び申請し、今度は「南北協力事業」として認可を受ける。
ところが11月末現在、南朝鮮当局が「事業」として承認しているのは、平和親善音楽会とバスケット競技、自動車ラリーだけだ。と言うことは、汎民連の行事を除く他のイベントは、まだ北側と最終合意に至っていない可能性が大きい。
また平壌11月13日発朝鮮中央通信は、平壌サーカス団のソウル訪問と関連して、南朝鮮の誰とも協議していないと明らかにした例もある。同サーカス団のソウル公演は、南朝鮮の(株)ケミョン・プロダクションが11月中に行うと発表していたもので、統一部が「協力事業者」および「協力事業」としての承認を同時に与えていた。
Q 決まっていないものをどうして確定したように発表するのか。
A 世論作り、資金集めが狙いだ。南朝鮮に限らず朝鮮民族にとって統一の名前が付くと無関心ではいられない。それを利用して社名を売り、スポンサーを集めようとしているのだろう。
Q 現代グループの鄭周永名誉会長が9月に訪北したとき、ア太委(朝鮮アジア太平洋平和委員会)の金容淳委員長をソウルに招待し、早ければ統一バスケット選手団と一緒にソウルへ行くのではないかという観測があったが。
A 報道を総合すると、ア太委の宋浩京副委員長がソウル入りするようだ。金容淳委員長がソウルへ行くには、まだ要件が整っていないということだろう。
Q 要件というのは。
A いくらア太委が民間団体だと言っても、南朝鮮では金容淳委員長を「朝鮮労働党の対南政策担当書記、北朝鮮の対南政策を総括する祖国平和統一委員会副委員長の肩書きを持つ対南政策の総責任者」(南朝鮮新聞)と見なしている。
今年2月、北側は政府、政党、団体連合会議で、南朝鮮当局に当局間対話の先決条件として外国勢力との共助中止と保安法の廃止など4項目の実施を求めた。しかし南側は、これに一切応えていない。
こうした状況の下で金容淳委員長がソウル入りするということは、南朝鮮当局に免罪符を与える結果につながりかねない。事実、金大中「大統領」は、金容淳委員長のソウル訪問を歓迎する意を表明しているが、そこには南側が主張している当局間対話に金容淳委員長の訪問をつなげたいという思惑が見え隠れしている。
予定されている南北イベント
◆2000年平和親善音楽会
平壌、12月5日、ア太委、(株)コレコム主催
チョン・ヘヨン、キム・グァンスク(北)、チョ・ヨンピル、パティ・キム(南)、ロジジャー・クリントン(米大統領の弟)らが出演
◆南北大衆音楽会
平壌・金剛山、12月9日、11日、文化省、ハンギョレ統一文化財団・SN21エンタープライズ主催
チョン・ヘヨン、リ・ブニ(北)、チョ・ヨンピル、リ・ミジャ(南)らが出演
◆和解と団結のための統一音楽会
平壌、12月中旬、民和協、プリモカンターテ合唱団主催
35人規模の南の芸術団が出演、北側の出演者は未定
◆統一バスケット競技
ソウル、12月23〜24日、ア太委、現代グループ主催
平壌で9月に行われた「統一バスケット大会」の第2回目(ア太委は宋浩京副委員長が北側団長としてソウルに行くと言われている)
◆統一念願金剛山自動車ラリー
ソウル―金剛山、12月30日〜1月2日、ア太委、友人房コミュケーション主催
ソウル―束草(江原道)―海路―金剛山地域のコースを年末年始にかけて走る。南朝鮮20チーム、海外3チームが出場
◆南北、海外共同の新千年迎春行事
板門店など、12月1日〜1月1日、汎民連南北、海外本部主催
「植民と隷属の時代」を締めくくり「自主と統一の時代」を迎えることを主題に多彩な行事を催す
※ア太委はアジア太平洋平和委員会、民和協は民族和解協議会の略
(南朝鮮の新聞報道を総合)