営業してます/東京・目黒 広報デザイン製作「キリエ」
東京・目黒の閑静な住宅街。その一角に、広報デザインの企画・制作・印刷を一手に手掛ける「キリエ」の本社がある。社員は上は40歳から下は20歳まで計10人。取締役企画制作部長でプロデューサーの金英勝さん(35)を含めた役員3人で経営する。
同社の仕事は企業広報のプロデュースなど。ポスターやパンフレットからキャラクターデザイン、玩具のパッケージまで「印刷と名が付けば何でもあり」。ジャンルも販促資料、イメージ広告、企業案内、社員募集など実に多彩で、大手出版社との契約も数多い。
業界は競合他社間の競争が激しく、不況のあおりで倒産する企業も多いが、金さんは「本当に良い物を作れる自信と、才能あふれるスタッフが、うちにはある。大手には負けません」と強調する。
「うちは常に顧客の最も近くで接し、十分な討議の末に最良の物を作っている。デザインコンペ(入札)を戦えば、九割がた取れる勝算はあります。このほど作った警視庁のポスターも、23社の競合の末に勝ち取ったんです」
ところで、月に50件以上こなす仕事の中には、同胞からの依頼も少なくない。青商会からのつてのほか、直接、持ち込んでくるケースもあるという。
中には、4月に行われた民族公演「珍島シナウィ」のプロデュースやパンフ制作、12月にブロードウェイで行われる在日の器楽公演「ザ・コリアンフォークミュージック・インストルメンタル・アンサンブル」のポスター制作などもあった。
「この仕事、実はそれほど儲かるものでもない。でも、採算を度外視しても同胞に還元できればうれしい。同胞が進むべき道の一助になれれば、それでいいんです」
話を聞く間、盛んに「貢献」という言葉を口にしていた金さん。「キリエ」とはヘブライ語で「主、神」の意味で、「社会貢献の精神をもって、お客様の期待を裏切らない、いい仕事をしたい」との思いで名付けたそうだ。(柳成根記者)
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