クリスマス商戦/ネット販売に熱い視線


 インターネットを利用した小売商戦「e(イー)クリスマス」の動向が、注目されている。米国では昨年暮れの販売合戦で、売上が40億ドルに達したとも言われるが、今年はさらに伸びることが確実視されている。日本でも、今年が「元年」になると目されており、企業の鼻息も荒い。

 

3日で配達

 eクリスマスの特徴は、言うまでもなく店舗に足を運ばずにショッピングできることだ。

 本やCDなどは、とくに実物を検分する必要はないのに、大型店などで目当てのものを探すとなると、手間取ることも少なくない。ネットなら簡単に検索できるうえ、注文して3日ほどで届くとあり、利便性は高い。

 ほかにも、「冬の寒空のもと、玩具店で並ぶのは御免」「歳末の多忙な時期に、なかなか外出する時間がつくれない」といった向きにはうってつけだろう。

 ネット販売の強みは、このように潜在化した需要を掘り起こせることだ。不況で消費マインドが落ち込んでいる日本では、クリスマス商戦に限らず重要なことだと言える。

 企業や商店のホームページ作成を請け負っている李代進さん(25・札幌市在住)は、「企業の関心は高まるはず。北海道などは面積が広く中央から離れているという事情もあり、ネットによる販路開拓が重視されるのでは」と話す。

 

「おねだり」機能も

 ネット販売も集客合戦は激しく、企業は商品の幅を広げたり、独自の工夫を凝らしたりと、ほかのサイトとの差別化に躍起だ。

 米国では、書籍販売の最大手サイト「アマゾン・ドット・コム」が、音楽ソフト、スポーツ用品、家具、玩具などと積極的に商品を拡充。対抗する玩具販売の大手「eトイズ」は、人気衣料ブランド「GAP(ギャップ)」と提携し、割引サービスを行っている。

 日本でも、一定期間に限って商品の無料配達、クリスマス商品専用のコーナーを設けるサイトが目立つ。

 中でもユニークなのが、大規模な仮想モール(商店街)「楽天市場」に近々登場する「おねだりメール」だ。プレゼントして欲しい商品を見つけ、このメールの部分をクリックすると、商品紹介のメールが意中の相手のアドレスに届く。主に、女性が男性にプレゼントをリクエストするうえでの利用をねらっている。

 

株価も急上昇

 米国では先月末からクリスマス商戦が本格化しており、ネット勢は予想通り好調な様子だ。主要企業の売上高は前年の2〜3倍、全体では60〜100億ドル(約1兆円)に達するとの指摘もある。

 市場の期待感も高く、一時は110ドル(約1万1000円)とピークの半分程度まで売り込まれたネット検索サービス「ヤフー」の株価は、先月末に再び最高値圏の230ドル(約2万4000円)前後まで上昇。ほかにも、株価を2倍強に上げるネット企業が続出した。

 一方、日本の市場規模は100億円との予測がある。米国並になるには、より高速・低料金でネットを利用できる環境が必要だとされる。

 しかし、来年度のパソコンの出荷台数は初の1000万台に乗ると見られており、ユーザー増加は必至だ。

 三菱商事や小田急百貨店など、この年末を機に、ネット販売に参入する大手企業が目立つ。また「楽天市場」も、9月以降は仮想商店の出店ペースがアップ。モールを運営する株式会社楽天は「(店主たちの間で)クリスマスに合わせようとの判断が働いたのでは」と見ている。

 日本の企業・店舗経営者の間でも、ネットへの期待がいよいよ高まって来た。(金賢記者)