取材ノート/リニューアルと意識の変化
10月に本紙をリニューアルした際に掲げた重要な方針の一つは、扱う範囲、内容の幅を広げることだった。それから2ヵ月余り。情報を集め、企画し、取材し、執筆するという日々の仕事でその方針の実践に努めながら、実は自分で予想していなかった発見があった。それは、南朝鮮に対する私自身の意識の微妙な変化だ。
リニューアルは「真の同胞大衆紙」を目指すものだったから、民族を共通項とする統一志向的な立場で、南朝鮮の話題も積極的に取り上げていくことになったのは当然のことだ。こうした姿勢は、同胞たちに歓迎された。
そもそも在日同胞の多くは南朝鮮地域の出身者である。しかし、祖国の分断に伴う複雑な政治状況の中で在日同胞社会も分断を余儀なくされた。悲しいことだが、その状態が半世紀も続く間、組織の中に、知らず知らずのうちに冷戦=分断思考がすみついてしまっていたのを否定できない。もちろん、そうならざるを得ない時代背景、政治状況もあった。
私自身もその中で育った。頭では、南も北もない一つの朝鮮が私のルーツと思っていたが、とくにこの仕事をしながらリニューアル前までは、「扱えない」対象に関心を持つことは相対的に見て少なかったと言わざるを得ない。
しかし、まだほんの2ヵ月余り、そして試行錯誤の途中だが、南朝鮮の話題を「扱うべき」対象として日々意識的に追うようになることで、南のことが以前よりぐっと身近に感じられるようになった気がする。自然に。
仕事の幅が広がることで自分の幅も少しずつ広がっていく。つくづく、幸福な職業だと思う。この幸福を読者である同胞にも還元しないと、と肝に銘じている。(韓東賢記者)