平壌で2000年平和親善音楽会/米、南北のアーティストが共演


平和への思い、一つに

 【平壌発=金志永、李鉉民記者】「2000年平和親善音楽会」が5日、平壌市の烽火芸術劇場で開かれた。朝鮮アジア太平洋平和委員会(ア太委)と南朝鮮の(株)コレコムなどが共催したもので、南北朝鮮のアーティストが共演。米国からはクリントン大統領の弟でロック歌手のロジャー・クリントン氏も出演し、平和の祭典に花を添えた。一方、朝鮮最高人民会議常任委員会の金永南委員長は7日、クリントン氏と会見し、6日にはア太委がクリントン氏一行を歓迎して平壌の木蘭館で宴会を開いた。クリントン氏一行は7日、板門店を訪問し、8日に平壌を発った。

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 コンサートのトップバッターはロジャー・クリントン。ギター、ベース、ドラム、キーボード、サックスという編成のバンドを従え、オリジナル曲を含む6曲を披露した。

 劇場を埋め尽くした2000人の観客は、演奏が終わるたびに熱い拍手をおくり、クリントンとバンドメンバーは何度も「Thank you(サンキュー)」と答えながら、熱い演奏を繰り広げた。

 続いて南朝鮮の歌手らの出演。チェ・ジニが「サランエミロ(愛の迷路)」、テ・ジナが「サモゴッ(思慕曲)」、パティ・キムが「リビョル(離別)」など、それぞれ往年のヒット曲を歌い上げた。

 また北側から出演した万寿台芸術団は、女性群舞「チャンゴの舞」をはじめ女性器楽重奏や女声独唱、男声独唱など多彩な演目を披露した。

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 出演者らは互いに異なる社会制度の下に暮らし、音楽的志向も異なる。しかし、平和を願い平壌に集まった南北朝鮮、米国の出演者の思いは美しい1つのハーモニーとなっていた。

 「今日のステージがすべての人々に平和をもたらすきっかけになることを願います」

 ロジャー・クリントンの言葉に続いて、ステージ上には出演者全員が登場した。南北朝鮮、米国のアーティストらが手に手をつなぎ歌った歌は、「ウリエソウォヌントンイル(われらの願いは統一)」。

 来る2000年代、朝鮮半島の受難の歴史にピリオドを打とうとの思いがステージ上で一つになっていた。

 

出演者のコメント

関係発展への重要な一歩/ロジャー・クリントン

 南北朝鮮、米国のアーティストが音楽を通じて友情を示した意義は大きい。われわれが共に力を合わせていくことのできる可能性を示したものだ。

  政治がこうした志向を妨げることはできない。希望をもって2000年代を迎えなくてはならない。今日の公演は、南北朝鮮と米国の協力関係発展で重要な一歩となったと思う。

溢れる統一への熱い思い/チョウ・ヘギョン

 南の友人たちと同じ舞台の上で歌を歌っていると、統一への熱い思いが溢れてきた。

  音楽には色々なスタイルがあるが、音楽家たちは舞台の上で一つになれる。同じ民族であるわれわれはなおさらだ。

  今日の公演は、朝鮮民族が思想と制度の違いを越えて統一を実現できるということを見せてくれた。

平壌で歌えて感無量/パティ・キム

 歌手として44年間活動してきた。南でも記念公演を行ったが、2000年を前に平壌市民の前で歌えて感慨無量だ。本当に感激している。

  曲折も多かったが、40年間歌い続けてきてよかった。続けてきたからこそこんな機会にも恵まれたのだと思う。こんな機会を設けてくれたすべての人に感謝したい。