「沖縄の心」と朝鮮


 今年は沖縄に関わる集会に何度か足を運んだ。新ガイドライン法を制定し、戦争国家作りにひた走る日本にとって、沖縄は要の存在である。しかし、肝心な「沖縄の心」はどうなのか。それを知りたかったのだ。

 さる11月22日、稲嶺沖縄知事は大田前知事が拒否してきた普天間飛行場に代わるヘリ基地の建設候補地を、名護市辺野古周辺と表明した。サミット開催と基地建設をリンクさせ、公共投資という名のカネをつぎ込み、反対運動を巧みに押さえ込もうとする日本政府の企図が露わだ。

 現在も、沖縄には在日米軍専用施設の75%が集中している。それをさらに強化し、戦時態勢を築こうとするこの動きは何なのか。

 東京のある集会で発言した大田前知事は「新ガイドラインで描かれた朝鮮半島有事の想定は無責任極まりないもの」と厳しく批判しながら、「北朝鮮について、米日中心の一方的な情報が拡散され、第2次世界大戦中に鬼畜米英といわれて国民がそのまま信じてしまったような状況が、また起こりつつある」と懸念を表明した。さらに同氏は、朝鮮との相互交流をもっと盛んにして、信頼関係を結ぶべきだと語った。

 新崎盛暉・沖縄大教授も先日の集いで「沖縄を踏み台にして、本土が潤ってきた」構図を示し、沖縄への長い間の差別的処遇と痛みを共有しない本土の身勝手さに比べて、朝鮮半島の人々は沖縄の心をハートで分かってくれると語った。

 19世紀末、日本は軍事力で琉球を支配下に置き(1879)、江華島条約(1876)を強制し、朝鮮侵略の道を突き進んでいった。この1世紀の重い歴史は、沖縄と朝鮮に、日本に対する根深い警戒感を抱かせてきた。

 日本がすべきことは、米軍基地の移設などではない。まず基地をなくし、沖縄や朝鮮の人々の信頼を回復する道であろう。 (粉)