みんなの健康Q&A/消化器(2)大腸ガン


定期的な便潜血検査を/たん白質の過剰摂取避け、便秘に注意

 Q 近年、日本で増加しているガンの中に大腸ガンが挙げられていますが、その原因も含めて大腸ガンについて話して下さい。

 A 以前は大腸ガンは、欧米人に多く日本人には少ない病気でしたが、最近は日本で顕著に増加傾向が認められています。

 元来、日本における食生活は穀物、野菜などが中心でしたが、最近は動物性蛋白質の摂取量の増加と食物繊維摂取量の減少傾向が強くなっており、この様な事が大腸ガン増加の最大原因になっていると考えられます。

 動物性脂肪や蛋白質の過剰摂取と食物繊維摂取の減少があると、便が濃縮され、便の腸内滞留期間が長くなります。便内に発ガン原因があると仮定すると、そのためにガンができやすいのではと考えられています。

 大腸ガン予防には、食物繊維を十分とり、動物性蛋白質や蛋白質の過剰摂取を避け、便秘をしないように注意する事が大切です。

  大腸ガンの症状、とくにどんな症状に気をつければ良いのでしょうか。

 A まず総論的な話をします。大腸ガンは比較的高齢者に多い病気で、発生率に男女差はほとんどありません。

 大腸は約150センチの長さがあり、直腸と結腸に大別されます。直腸は肛門のすぐ上の部分で約20センチあります。残りが結腸で、直腸に近いところからS状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸、盲腸に分けられます。

 部位別発生頻度は直腸51、6%、S状結腸23.4%、下行結腸4、3%、横行結腸6,3%、上行結腸8,6
%、盲腸5、3%です。

 直腸とS状結腸を合わせて全体の4分の3となり、肛門に近いほどガンが出来やすいといえます。

 症状としては、腹痛、血便、便通異常などが起こることが多いのですが、右側結腸ガンでは症状もでにくく、早期ガンでは自覚症状もないことが多く、いたずらに症状に頼ることはむしろ危険だと考えます。それよりも最近、大腸ガン検診として広く行われている便潜血(便ヒトヘモ)検査を定期的に受けることが大切です。

  大腸ガンの検査、診断、治療はどうするのですか。

  大腸ガン診断のための検査には次のものがあります。(1)便ヒトヘモ検査 (2)直腸指診(外来のベッドサイドでできる検査で、直腸ガンの約3分の2は指の届く範囲にできるので有用である) (3)注腸レントゲン検査 (4)大腸ファイバースコープ検査などです。

 確定診断は、内視鏡検査時に、病変部からの生検標本より、顕微鏡で病理診断されます。

 大腸ガンの治療の基本は切除手術です。進行ガンは当然、開腹手術が行われますが、早期ガンでは病変の大きさ、形態、深さから内視鏡的治療が可能な例では、最近積極的に行われるようになっています。内視鏡治療不能例では、早期ガンでも開腹手術が行われます。

 直腸ガンでは、人工肛門の問題がありますが、最近では病変が肛門に近い例でも、なるべく肛門を温存する手術法が選択されています。

(3回連載。名古屋市千種区今池1―28―12 TEL 052・733・1515)