在日同胞初の診療情報管理士
共和病院病歴図書室主任-金明江さん


同胞医療の質向上に寄与したい

 社団法人日本病院会認定の診療情報管理士。

 一般的には馴染みの薄い資格だが、いわゆる病名コード(世界保健機構の「疾病、傷害および死因統計分類提要 ICD―10準拠」)からはじまってカルテの点検、整理、情報提供などを行う。

 現在の日本医療界を取り巻く診療の問題、カルテ開示、病院の経営管理まで幅広く研究課題が提起される職種だ。

 金明江さん(53)は共和病院の病歴図書室主任。在日同胞で初めての診療情報管理士の資格取得者。68年に立命館大学を卒業、共和病院に勤めて20年になるが、83年に資格を取得した。

 資格取得のためには、日本病院会の2年間の通信教育が必要。

 内容は医学の基礎科目、診療情報管理の専門的知識、技術および統計、コンピューターなど、合計30科目を習得する。

 日本で資格認定されているのは3963人(99年4月現在)しかいない。

 今、日本診療録管理学会は実務者だけでなく、医師や看護婦などが多数参加し、医療の質と機能の向上の観点からも診療録管理は大きく注目される分野になっているという。去る9月には岡山・倉敷市で「診療情報管理士の育成、次世紀への飛翔―希望と誇りを持った専門職へ」をメインテーマに第25回日本診療録管理学会が開かれた。

 在日本朝鮮人医学協会の学術報告会で、論文「日本の診療録管理の現況と共和病院の現状と今後」を発表したこともある。

 金さんは「在日の若い世代もこの資格をとれるように、もっと知って貰いたい」と言いながら、「勉強が好きな人、本を読むのが好きな人、コンピューターに興味のある人などに最適です」と勧める。

 そして「今後、後輩育成と長年積み上げた在日同胞の疾病構成の研究など、同胞医療の状況を発表する機会をとらえながら、在日同胞の医療に寄与するためにも診療情報管理士という職種に光をあてたい」と願っている。