そこが知りたいQ&A/金正日総書記、今年の活動は?
昨年より増えた経済への指導-とくに食糧、電力解決に力注ぐ
Q 今年、金正日総書記はどのような活動をしたのですか。
A 12月14日現在で66回の動静が伝えられています。このうち経済部門に関する指導が22回(軍関係の経済部門含む)、軍部隊指導、軍事訓練視察など軍関連が25回です。
Q 特徴を教えてください。
A 例年に比べて経済部門への指導が多かったことです。22回は全体の33,3%になります。朝鮮では年初から経済建設を最重要課題に掲げてきました。中でも力を注いだのが食糧と電力問題の解決です。総書記の指導もこの方面に集中的に及んでいます。
Q 食糧分野への指導内容を具体的に聞かせてください。
A まず、土地整理事業があげられます。これまで田畑でなかった所を田畑に整備するもので、いわば耕地の開墾です。7月に平安北道を訪れた総書記は、土地整理事業について、(1)穀物の生産を高める重要な方途 (2)農業の総合的機械化を実現して農民を骨の折れる労働から解放する事業――だと述べています。
例えば、江原道では3万ヘクタールの土地を2段階に分けて田畑として整理しました。総書記は今年2月を皮切りに3、5、6月の4回にわたって江原道の農村地帯を現地で指導しています。1、2回目は土地整理事業を、3回目は機械化事業を指導、4回目は新たに整備された協同農場を視察しました。土地整理のモデル地域にしようとの戦略が見えてきます。
朝鮮の耕地面積は1993年現在で約130万ヘクタールでした。しかしその後、94年の雹(ひょう)の被害、95年から3年連続の水害、干ばつによって、耕地面積が減少しました。そのため、何よりも耕地面積を増やすことが求められたのです。今後は江原道の方法に沿って、全国的に土地整理事業が展開されるでしょう。その手始めが平安北道です。
Q 養魚場への指導もあったと聞いていますが。
A タンパク質の重要な補給源だけに、視察も増加しました。公式に報道されただけでも、4ヵ所を訪れています。10月5、6の両日、平壌で開かれた内閣総会拡大会議では、養魚業を大々的に繰り広げるために総書記が示した課題を遂行する対策が討議されたと報道されています。総書記は各市、郡に20〜30ヘクタールの人工養魚場を建設するとともに、現在ある場所もきちんと管理するよう指示したそうです。
Q 経済部門の指導はどうだったのですか。
A 朝鮮では昨年から、軽工業、農業、貿易中心の経済構造から重工業中心の経済構造に戻っています。今年元旦の共同社説でも、「第2の千里馬大進軍」という形で重工業を優先的に発展させることが強調されました。そのために総書記は、慈江道と咸鏡南道を2回、咸鏡北道を1回訪れています。
慈江道の現地指導では、発電所、タイヤ工場、トラクター工場などを、咸鏡南北道では発電所、マグネシア総合工場、機械工場などを視察しました。3月に咸鏡北道を訪れた際には、鉄鋼と鉄道関係の幹部会議を招集し、鉄鋼材増産に向けた課題を示しています。「経済の全部門で生産を正常化し、経済全般を軌道に乗せ、人々の生活を安定向上させる」(共同社説)ためにも、重工業を発展させることが求められているのです。
Q そのためには、電力を十分に確保、供給することが必要だと思いますが。
A その通りです。電力がなければ工場や企業所、機械も稼働せず、生産すらできません。まず生産を保障するためにも、大本となる電力問題を解決しなければならないということです。昨年は中小型発電所の建設が主でしたが、今年はそれに大規模水力発電所も加わりました。総書記は年初から、平安北道の泰川水力発電総合企業所を現地指導、2号発電所を見て回り、「電力生産を優先させることは、経済を飛躍的に発展させるうえで最も重要な問題」だと語っています。
Q 軍関連の指導はどうでしょう。
A 全体の65,4%と、今年も引き続き大きなウェイトを占めました。とくに、軍部隊、軍事訓練に対する指導の多さが目につきます。朝鮮で依然として国防に力を入れていることを示すものです。これは朝鮮で先軍政治を進めていることと関連します。先軍政治とは、防衛面だけでなく、経済建設をはじめ社会主義建設全般において、軍が中心的役割を果たすことを意味します。今年、総書記が行った養魚場、食料工場、牧場などは軍人たちが建設したものです。土地整理事業で中心的役割を果たしているのも軍人です。だから、総書記の現地指導の対象が軍中心になるのも自然な流れと言えます。
主な活動 |
1・11 科学院を現地で指導 19 泰川水力発電総合企業所(平安北道)を現地指導※ 2・10 江原道の土地整理事業を現地指導 3・ 7 科学院咸興分院を訪れ、科学者、技術者とともに道(直轄市)、市(区域)、 郡人民会議代議員選挙に参加 4・23 徐萬述第1副議長と会見。昼食会 5・7 江原道の農村機械化事業を現地で指導 6・17 慈江道の人民経済各部門を現地で指導※ 7・13 平安北道の土地整理を現地で指導 8・12 両江道の大紅湍郡総合農場と三池淵郡茂峰労働者区を現地指導※ 9・ 1 新たに拡張された車周賢支配人が勤める養魚事業所の養魚場を視察 10・ 1 平壌に滞在している南朝鮮・現代グループの鄭周永名誉会長、鄭夢憲会長 と会見。昼食会 12・ 5 第583軍部隊が新たに建設した養魚場を視察 |