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共和国が推進するジャガイモ農業(下)


 共和国では、ジャガイモの増産対策の(3)に有機質肥料の増産を挙げている。

 基本は、豚などの家畜の屎尿を利用する屎尿肥料。 両江道大紅湍郡では、ジャガイモを主飼料とする豚などの家畜の飼育を試みている。屎尿肥料を確保すると共に、肉も生産できるので、一石二鳥だ。

 有機質肥料増産のために、農村1世帯当たりで20トン、協同農場の作業班傘下の肥料を生産する分組で500トン、協同農場の種を蓄える作業班で1000トンの良質な肥料を生産し、地力を高めることを呼びかけている。すでに稲の収穫で一定の成果を収めている複合微生物肥料を利用することも奨励されている。

 つぎに、(4)の2毛作、2期作の推進について見る。 ジャガイモは生育期間が短く、品種によっては4季を通じて生産できる。

 「じゃがいもMiNi白書」(日本いも類研究会編集)によると、日本の場合、春作(1〜3月に作付けし、5〜7月にかけて収穫、主産地は九州から南関東にかけての温暖地)、夏作(4〜5月に作付けし、8〜10月にかけて収穫、主産地は北海道から東北にかけての寒冷地)、秋作(8〜9月に植付けし、11〜1月にかけて収穫、主産地は九州の霧のない地帯から瀬戸内海沿岸の西南暖地)、冬作(10〜12月に植付けし、2〜4月にかけて収穫、主産地は九州から沖縄にかけての無霧地帯)が可能だ。しかし緯度や高度差などの気象条件に応じて、北海道や東北、標高の高い本州中部では春作の年1回、低緯度地帯にある西南暖地では春作と秋作の年2回の栽培を行っている。

 共和国では、水田の前作としてジャガイモを栽培する2毛作を実施する。昨年までの2年間、咸鏡南道と平安北道では水田の前作としてジャガイモを植え、りっぱな収穫を出した(民主朝鮮98年11月9日付)。今年はこの経験に基づき、平安北道・定州と咸鏡南道・咸興を結ぶラインの南側で、全面的に2毛作を実施する計画だ(地図参照)。

 穀倉地帯の一つ、黄海北道鳳山郡でも数年前から水田での2毛作を推進してきたが、今年は前作として小麦、大麦と共にじゃがいもを植える。

 共和国で2毛作を大々的に実施できるようになったのは、大成苗を植える新たな水稲栽培法を開発したからだ。これによって、種まきと田植えの時期を1ヵ月ほど遅らせることができ、裏作作物の栽培も1ヵ月ほど遅らせることができるからだ。従来の冷床苗による農法では、黄海南道南部という限られた地域でしか実施できなかった2毛作が、これで一般化できるようになった。

 水田での2毛作に加え、畑でのジャガイモ二期作も実施される。咸鏡南道では前作は食用、後作は主に種として保存する計画。同道ではすでに多収穫用の種を確保した。ヘクタール当たり30〜40トンの肥料を与える予定だ。

 また共和国では、ジャガイモとともにサツマイモも大々的に栽培することを呼びかけている。サツマイモはトウモロコシに比べて肥料を3分の1少なく使っても、ヘクタール当たりの収穫は何倍も増えるという利点がある。平安北道亀城市では、ヘクタール当たりの収量が低いすべてのトウモロコシ畑でサツマイモを栽培する。

 労働新聞など3紙の今年元旦の共同社説が「農業部門では食糧問題を円満に解決できる確固たる展望が開かれた」と指摘した根拠の一つは、ジャガイモ増産のための対策が講じられ、その実現が着々と近付いているからだと言える。(基)

 

貯蔵と加工

 ジャガイモの生産増加にともない当然、貯蔵と加工の問題が提起される。そのために共和国では、貯蔵庫や加工施設を多く建設しようとしている。

 一般的に、ジャガイモは選別やキュアリング(傷の治療)が不十分だと、貯蔵して2ヵ月が過ぎたあたりから腐敗が生じてくる。そのため、傷をつけない収穫と取り扱い、腐敗いもの除去とキュアリングを徹底しなければならない。

 また種子用は3℃、食用は5℃で貯蔵すれば、6ヵ月の長期貯蔵でも発芽しない。加工食品用は糖化を避けるために7〜13℃で貯蔵するのが好ましい。