視点
1992年の「大統領」選当時、選挙資金として金泳三に150億ウォン(15億円)を直接渡した――南朝鮮中堅財閥の一つ、韓宝グループの前総会長鄭泰守が4日の経済聴聞会で行った証言が波紋を広げている。
「金前大統領が、韓宝から選挙資金をもらったという原罪のために(銀行が)韓宝鉄鋼に無理な資金援助を行うようにさせ、これが金融危機を招く導火線になった」(東亜日報5日付)と指摘されている。
鄭が経営していた韓宝鉄鋼が巨額な負債を抱えて倒産したのが2年前の97年1月。その後、真露グループ、大農グループ、10大財閥8位の起亜グループが相次いで経営破たんした。この年の末には国際通貨基金(IMF)の融資を受けねばならないほどに、金融危機が深刻化した。
韓宝鉄鋼の倒産と同時に大手銀行からの5兆ウォンにのぼる不正融資が発覚した。この黒幕が、政治資金調達から政策決定まで行い「副大統領」と呼ばれた金泳三の次男賢哲であることは当時から指摘されていた。当然、金泳三の関与も噂された。だが、鍵を握る鄭泰守が沈黙を守ったため、賢哲や金泳三に司直の手は伸びなかった。
鄭の爆弾発言で金泳三は事前収賄罪に問われる可能性が出てきた。金泳三は「事実無根」と全面否定、1月18日から始まった経済聴聞会への出席も拒否している。だが、「国民が納得できるよう、聴聞会で証言するのが望ましい」(東亜日報6日付)というのが大方の世論だ。(聖)