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時事・解説/食糧問題解決へ


 「今年、われわれは農業に全国家的力を注ぎ、食の問題を解決しなければならない」。労働新聞など3紙による元旦の共同社説はこう強調した。そのために共和国では、年初の1月14、15日、全国農業部門活動家熱誠者会議を開き、農業生産を増やすための対策を討議。2月24日には、金日成主席の労作「わが国社会主義農村問題に関するテーゼ」(以下「農村テーゼ」)発表35周年記念中央報告会が開かれ、洪成南総理が食糧問題の解決を強調した。農業法も新たに採択された。民主朝鮮2月5日付には農業生産を増やすための農業省副相(次官)の寄稿文が掲載された。国家あげての取り組みようがうかがえる。(聖)

 

2毛作以外ない

 「われわれは朝鮮労働党の農業第1主義方針を高く掲げて営農作業に優先的に力を集中させ、穀物をはじめとする生産の全部門で新たな高揚を起こし、食糧問題を解決しなければならない」

 「農村テーゼ」発表35周年記念報告会で記念報告を行った洪成南総理は、参加者らにこう訴えた。

 共同社説で示された今年の農業の課題は、@ジャガイモ生産で革命を起こし適地適作、適期適作の原則で農業構造改善A2毛作の推進B品種改良C土地整理事業を大衆運動として展開――の4つである。

 とくに昨年10月の金正日総書記の両江道大紅湍郡現地指導を機に、ジャガイモの大々的増産が最重要課題として浮上してきた。

 農業構造の改善については農業省のハン・ドク副相が民主朝鮮2月5日付への寄稿文で、「地理的条件と農民の意思と要求に合った多収穫作物を選定し栽培すること」と規定した。

 これは例えば、ジャガイモ産地として名高い大紅湍郡のような高山地帯では、稲やトウモロコシよりもジャガイモを大々的に植えていこうというもの。農業構造の改善とは生産構造の改善である。

 また、2毛作については金炳勲博士が「金日成総合大学学報」第44巻第3号に掲載した論文「2毛作農業は食糧問題を円満に解決するための重要な保証」に詳しい。それによると「金正日総書記は、わが国で食糧問題を解決する道は、2毛作農業を行う以外にないとし、それが自身の意図であると指摘した」という。ちなみに、今年は平安北道・定州と咸鏡南道・咸興を結ぶ緯度40度以南で全面的に2毛作を実施する計画だ。

 

農業法にも明記

 これらはすべてチュチェ農法に網羅されている内容だ。チュチェ農法とは、「農村テーゼ」で示された課題を実行する過程で定着した営農方法。@適地適作、適期適作A冷床苗とトウモロコシ栄養壺などの栽培法B科学的な施肥体系C科学的な水管理D合理的な土壌管理―などがその内容だ。連作や2毛作の奨励、品種改良なども含まれる。

 洪総理は報告で、「総書記はここ数年、農業の実態を深く把握し、チュチェ農法は農民の意思とその実情に合わせて農業を営む科学農法だと明らかにし、チュチェ農法を歪曲して執行し農業生産を阻害してきた現象をいちいち正して、農村経営を正しい軌道に乗せるようにした」と述べた。

 農業を農民の意思とその実情に合わせて行うことは、97年元旦の共同社説から指摘されてきた。これは、過去、現場の農民が大麦が合うという土地に農業委員会がトウモロコシを植えるよう強いてきた、などの苦い教訓から、適地適作、適期適作の原則を徹底的に具現しようというものだ。「農業における先生は農民」(ハン副相)なのである。

 最近新たに採択された農業法も第1章で、農業生産と管理の主人である農業勤労者の意思と要求、創意性と積極性を発揮させることについて明らかにしており、法的にもこの問題が整備された。

 洪総理は「社会主義農村テーゼは今日も明日も社会主義農村建設における確固たる指針」と指摘。「チュチェ農法に対する認識を正しく持って、すべての営農事業を徹頭徹尾チュチェ農法の要求どおり行う」よう強調している。

 今後も共和国は、「農村テーゼ」と「チュチェ農法」を変わらぬ方針に掲げて農業政策を推し進めていくことになる。

 

農村テーゼ

 1964年2月25日の朝鮮労働党中央委員会第4期第8回総会で採択された「わが国における社会主義農村問題に関するテーゼ」のこと。共和国の農業政策の基本をなすものだ。@社会主義のもとでの農村問題解決の基本原則A社会主義農村建設の基本課題B社会主義農村建設における郡の役割と任務C協同農場の経済的土台を強め、農民の生活を向上させるための当面のいくつかの対策――の4体系からなる。農村テーゼは、社会主義制度下における農村建設の目標について、究極的には全農地を国有化し、都市と農村の差、工業と農業の差をなくすと定めた。そして、農村で技術・文化・思想革命を進めることを強調。技術革命の具体的な内容が水利化、機械化、電化、化学化の4つである。昨年9月に修正・補充された社会主義憲法は「国家は、都市と農村の格差、労働者階級と農民の階級的な格差をなくすため、農村技術革命を進めて農業を工業化、現代化し、郡の役割を高めて農村に対する指導と援助を強化する」(第28条)と指摘している。