新「韓日漁業協定」撤回求める声
1月に発効した新「韓日漁業協定」に反対する、南朝鮮漁民の集会やデモが相次いでいる。双方の漁船が操業できる独島周辺の暫定水域が日本側に有利に設定され、南朝鮮の主要な漁場が狭まったことに対し、「日本の不当な要求に屈した」「漁民の生存権が奪われる」と漁民の反発は根強く、協定の白紙撤回を求める声が高まっている。
「漁民たちの生活を保障せよ!」「金善吉(海洋水産部)長官は責任を取って即時辞任せよ!」。1日に釜山水産センターで開かれた、南朝鮮の12の漁民団体が所属する全国漁民総連合(兪鍾久会長)主催の「『韓日漁業協定』破棄国民大会」には、各地から2000余人が集まった。
大会では、協定は「漁民との論議もろくにないまま結ばれた不平等協定だ」とし、南朝鮮に不利な協定内容は「水産業を事実上放棄したのも同然」と非難。協定の撤回、漁民の生存権を保障する特別法の制定、金善吉長官の辞任を求めた。同長官は翌2日、辞任する意向を表明した。
漁民たちが「協定は不当」と訴えるのは、水域が南朝鮮に不利に設定されたことで、漁民の操業に深刻な影響が出るからだ。
これまで、南朝鮮漁船は日本の排他的経済水域(EEZ)内での操業は日本の許可を受けて行っていた。日本のEEZ内での南朝鮮漁船の漁獲量は年間約21万トンで、南朝鮮のEEZ内での日本漁船の漁獲量約9万トンの2倍以上。新たに協定が結ばれたことで、日本のEEZ内での操業許可が再び必要になるうえ、漁獲量も制限される。
さらに、暫定水域が東経135度30分と、南朝鮮側の主張より狭く設定されたことで、南朝鮮は2万トンのイカ漁獲量を誇る能登半島沖の「大和堆」の半分を失った。これにより「約1000隻のイカ釣り船がいっぺんに廃業に追い込まれることもあり得る」(「韓国水産業協同組合中央会」)。
新協定による打撃は南朝鮮の方が圧倒的に大きく、漁獲高は半減、損失額は年間1400億ウォンとも言われる。漁民の間では「日本の不当な要求に屈した」との声が強く、協定撤回を求める世論が高まっている。
南に圧倒的な打撃及ぶ「不平等条約」
「韓日漁業協定」とは、双方の沿岸から12カイリ(約21.6キロ)の外側まで相手側の漁船の操業を認めるというもの。1965年6月に「韓日条約」と共に締結、同12月に発効した。その後、日本は「沿岸国は幅200カイリ(約360キロ)のEEZを設けることができる」と定めた国連海洋法条約を96年6月に批准。日本と南朝鮮は同条約に沿って協定を改定するための交渉を始めた。
改定内容の中心は、独島周辺の暫定水域の設定だが、有力漁場の「大和堆」の確保をめぐり、暫定水域を広くして「大和堆」を広く含めたい南朝鮮と、できるだけ狭めて日本のEEZ内に「大和堆」の大部分を残したい日本の主張が対立。日本は、交渉の難航を理由に、昨年1月、協定破棄を南朝鮮に一方的に通告した。南朝鮮はこれに強く抗議。マスコミも「日本の思うように協定を改定しようと圧力を掛けている」(中央日報)と非難した。
その後、暫定水域を双方沿岸から35カイリ(約63キロ)、東側境界を東経135度30分に定めることなどを盛り込んだ新「韓日漁業協定」が9月に妥結。破棄から1年で失効という期限ぎりぎりの今年1月22日、批准書を交換、再発効に至った。