本の紹介/資料 雑誌に見る近代日本の朝鮮認識―韓国併合期前後―全5巻 琴秉洞編・解説
明治後期の主要雑誌を含む30誌より「朝鮮」を主題とする記事を集成し、近代日本人の朝鮮観・朝鮮認識を検証した資料集。
保護条約(乙巳5条約)締結以前期(1901年)〜併合初期(1914年)の「太陽」、「中央公論」、「日本人」、「東洋経済新報」、「朝鮮之実業」、「新人」、「新紀元」、「少年世界」など30誌から678件の記事を精選している。
@保護条約締結以前期A統監政治期上B同下C併合条約締結期D併合初期――の全5巻からなり、朝鮮観の変遷と各時期の特徴が分かるようになっている。
各期ごとに解説や分野別著者名索引などがあり、便利。分野別著者名索引により、軍人、政官界、経済界、言論界、宗教界、教育界などの朝鮮観が検証できる。
編・解説の琴秉洞氏は朝鮮大学校の講師も務める歴史研究家。これまでも「関東大震災朝鮮人虐殺問題関係史料」などの編集・解説を行っており、その資料収集と分析、実証的な手法への評価は高い。
「なかなか改まらない日本人の朝鮮認識、その固定観念とはどういうものなのか、いつ頃形成されたのか」(中塚明・奈良女子大学名誉教授、宣伝パンフより)が提示されている本資料集。「この資料集をひもといて、21世紀に通用する朝鮮認識、ひいては国際認識を、どれだけ自分のものとして身につけることができるか、編者はそれを日本人に問いかけている」(同)
9万8000円+税(分売不可)、緑蔭書房、東京都板橋区板橋1―13―1、TEL 03−3579−5444