労使政委員会脱退の民主労総、ゼネスト突入を示唆
南朝鮮の全国民主労働組合総連盟(民主労総)が2月24日に労使政委員会からの脱退を決定して以降、当局と企業の一方的な構造調整強行に抗議する労働者のたたかいが続いている。
民主労総に所属する現代グループ傘下の現代精工労組では、事業交換計画の撤回を訴え、組合員2000余人が2月25日から2日間、ゼネストを行った。組合員は、今後は現代自動車への吸収合併が取り沙汰されている起亜自動車の労組とも連帯するとしている。
また、起亜グループ傘下の亜細亜自動車労組でも同日、スト突入の賛否を問う投票の結果、組合員の過半数3000人が賛成、近くストを行うこととなった。
一方、大学生の間でも労組に連帯する動きが見られる。高麗大総学生会は同日、民主労総の労使政委脱退を支持する声明を発表。「労使政委が守ったのは労働者の無差別な整理解雇のみだ」と非難し、当局の安易な経済政策に反対して大規模な労学連帯闘争を展開すると強調した。
成均館大と梨花女子大の総学生会も「失業者の急増に伴い、大卒未就職者も40万人を超えた。雇用問題は労働者だけでなく大学生の問題でもある」と主張した。
民主労総の李甲用委員長は、脱退を決定した翌日の会見で「脱退は労働者が雇用不安に直面している現実に即応した措置だ」と述べ、構造調整に伴う不当解雇の中止、7.7%の賃上げ、失業者の生活を保護する社会制度作りなどを求め、ゼネストを含めた総力闘争に臨む構えだと強調した。
また「韓国労働組合総連盟」も、当局の失業対策如何によっては脱退も辞さないとしている。
【解説】民主労総が労使政委脱退を決断した背景には、「苦痛の分担」がうたわれた労使政合意に反し、労働者のみが犠牲を強いられている現状がある。昨年2月の労使政合意には、整理解雇制導入、勤労者派遣制の対象業務拡大、労組の政治活動認可などが盛り込まれ、財閥改革の実施も約束された。中でも焦点は整理解雇制導入問題だったが、一貫して導入に反対していた労組側が「整理解雇は労使間協議のうえで必要最低限に抑える」約束を取り付けることで譲歩した。だが、当局は「労使間協議」のプロセスを無視し、昨年12月には労組に何の相談もないまま、5大財閥との間で事業交換計画を結んだ。企業側も解雇回避の努力を怠り、安易な人員整理や賃金カット、志願退職強要など悪質な「不当労働行為」を行った。労組側は整理解雇そのものに反対しているのではなく、整理解雇制に便乗して、労働者のみが権利を踏みにじられる理不尽な状況に反対しているのだ。