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外国人登録法の一部改定案、「朝鮮人取締法」の本質はそのまま


 日本政府は9日、外国人登録法(外登法)の一部改定案を閣議決定し、国会に提出。主な改定内容は◇指紋押捺制度の全廃◇登録原票の本人への開示制度新設◇永住者らに求める20の登録事項のうち「職業」「勤務先などの名称・所在地」の二項目を削除◇永住者らの登録証の切り替え期間を「5年ごと」から「7年ごと」に延長◇登録事項の変更を、本人以外の親族が代理申請できるケースを認定、である。しかし総聯と在日同胞が一貫して廃止を求めてきた登録証の常時携帯・提示義務、刑罰制度は手付かずのまま。同法の「朝鮮人取締法」としての治安立法的性格に変わりはない。(東)

 外登法のどこが治安立法的なのか。

 同法により、すべての外国人は居住地の市町村役場に氏名、生年月日、性別、居住地などを登録。16歳以上には、登録事項と顔写真、署名入りの外国人登録証の常時携帯・提示、定期的な切り替え、登録事項に変更が生じた場合の変更登録申請が義務づけられる。違反した場合、「うっかりミス」の過失でも重い刑事罰が科される。

 必然性のない繁雑な義務を設け、それに違反したら過失でも刑罰対象とする同法は、外国人を監視対象としてその動向を常に掌握し、その人権を威嚇、弾圧、規制するためのもの。その構造の「柱」となっているのが、登録証の常時携帯・提示義務と刑罰制度だ。いくら表面的な改定を重ねても、この点が改善されない限り、外国人の人権を著しく侵害、抑圧する外登法の本質的性格に変わりない。

 さらに現在、同法が適用される外国人の約半数は在日同胞だ。外国人登録令として公布、施行された1947年当時に至っては93%以上。指紋制度を導入した52年当時でも90%を超えていた。外登法が狙う「治安」の対象が在日同胞であることは明らかだ。

 それは近年になっても変わりない。

 東京・小平警察署は96年まで、小平市が管理する登録原票を不当に定期的に閲覧していた。同市には朝鮮大学校や金剛山歌劇団がある。同胞が監視の対象とみなされていることの証明だ。90年5月には、住所変更の申請が遅れただけで、機動隊を含む百余人の警官隊が「容疑者」の勤務先である東京朝鮮中高級学校を包囲、強制捜査した。登録証不携帯による同胞の逮捕、拘束、取り調べの例も数限りない。

 このように、外登法の主なターゲットは在日同胞であり、その本質は「朝鮮人取締法」にほかならない。

◇◇

 前回の92年度の改定の際、国会で採択された付帯決議は「人権尊重」の方向で、「施行から5年経過後に速やかに適切な措置を講じる」とした。この間、93年と98年に「市民的政治的権利に関する国際規約」(自由権規約、国際人権B規約)の日本での順守状況を審査した国連・規約人権委員会は、登録証の常時携帯を義務づけこれに違反した際は刑罰対象となる外国人登録法は差別的であり廃止すべきだと繰り返し勧告した。日本国内でも人権尊重の観点から、抜本的改正を求める声は根強い。

 そして前回の改定から7年。日本政府はやっと重い腰を上げた。しかし、聞こえのいい「指紋全廃」を掲げて当たり障りのない内容に終始した改定案は、同法の「朝鮮人取締法」としての治安立法的な性格をそのまま引き継ぐもの。「人権尊重」の方向に沿うものとは言えず、在日同胞はもちろん、抜本的改正を求める内外の世論がとうてい受け入れ難い内容だ。

 指紋押捺制度は92年の前回の改定時に、永住者・特別永住者(在日同胞のほとんどが該当)についてはすでに廃止されており、他の改定内容も、同胞らの精神的、肉体的負担を大きく軽減するものではない。

 日本政府は、在日同胞の歴史的経緯と生活実態、国際条約の諸原則を尊重し、世論の声に耳を傾け、同胞の基本的人権を尊重する方向で、登録証の常時携帯および切り替え、刑罰制度を廃止し、外登法を抜本的に改正すべき
だ。