ここが知りたいQ&A/日本国籍離脱求めた人権救済申立が行われたが
本来の自分への回帰/法務省は拒否姿勢
Q 日本国籍を持つ同胞らが、日本国籍離脱を求めて日本弁護士連合会に人権救済申立を行ったが
A 申立を行ったのは、昨年7月に共和国国籍を取得した在日同胞13人で、17日に日本国籍喪失を居住する市町の役所に届け出たが受理されなかった。
この同胞らは、共和国国籍法に則り、請願によって共和国国籍を取得した。
日本の国籍法は、「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」と定めており、日本政府はこの同胞らの日本国籍喪失を認めなければならない。しかし、喪失届け出に先立って弁護士らが折衛したところ、法務省は未承認国家の国籍は「外国の国籍」に当たらないという理由で、拒否する姿勢を示した。申立は、これを人権侵害だとして行われた。
Q 国籍離脱は権利として認められているのか
A 国籍離脱の自由は世界人権宣言にもうたわれており、日本の国籍法も保障している。また日本も署名している「国籍法の抵触についてのある種の問題に関する条約」は、「何人が自国民であるかを自国の法令によって決定することは、各国の権限に属する。右の法令は、国際条約、国際慣習及び国籍に関して一般的に認められた法の原則と一致する限り、他の国により承認されなければならない」などと定めている。
つまり、同胞らが共和国国籍を望み、共和国政府が法的にそれを認めたのだから、第3者の日本政府が干渉する余地はない。未承認を口実に相手方の国籍を否定することは、明らかにその国の主権と個人の国籍取得権への人権侵害となる。
Q 積極的に日本国籍離脱を求める理由は
A この同胞らはもともと、望んで朝鮮の国籍を「喪失」したのでも、日本国籍になったのでもない。
この同胞らは朝鮮人の父と日本人の母の婚外子として生れ、父親の認知を受けている。ただ、日本政府が朝鮮の分断固定化政策から、在日同胞の帰属意思に関わらず一方的に「韓国国籍法」を適用しているために、朝鮮の国籍を「失った」と見なされた。
昨年6月の改定法施行まで、「韓国国籍法」には「外国人で大韓民国の国籍を取得したものが6ヵ月以内にその外国の国籍を喪失しないとき」は「韓国国籍」を失うとの決まりがあり、この同胞たちは6ヵ月以内に日本国籍喪失を届け出なかったためだ。
しかし、「韓国」への帰属意思のない同胞が、「韓国国籍法」の知識がなくて当たり前だ。朝鮮人としての強い民族意識にも関わらず法的には「日本人」として扱われることは、大きな精神的苦痛だったろう。日本国籍離脱は、この同胞らにとって言わば本来の自分への回帰となる。
Q 今後の展望は
A この同胞らは、法的手段に訴えてでも要求を貫く構えだ。
総聯中央によると、同様の経緯で日本国籍となっている同胞は相当数に上る。もとよりこの問題は、朝・日国交正常化が実現すれば国家間の取り決めにおいて解決されていくだろう。しかし、国籍は民族のアイデンティティや社会・法的地位の根幹に関わる問題だ。在日同胞社会で世代交代が進んでいる現状からも、日本政府の不当な政策は早急に是正されるべきだ。