sinboj_hedline.gif (1986 バイト)

時事・解説/金正日総書記の咸鏡南・北道現地指導


 金正日総書記の咸鏡南・北道の工業部門に対する現地指導は、今年の共同社説で指摘された(1)経済すべての部門で生産を正常化させ(2)経済全般を軌道にのせ(3)人民生活を安定向上させる――という経済部門における基本課題を遂行し、重工業の優先的発展を保障しながら軽工業と農業を同時に発展させるという、党の社会主義建設の基本路線を確固と堅持する重要な契機となった。(基)

 

工場視察

耐火材などの増産・運搬を強調/造船など輸送手段の確保も

 まず新興機械工場、端川マグネシア総合工場、端川港建設現場、咸北造船所連合企業所、6月5日電気総合工場に対する視察の意味について見る。

 新興機械工場では、生産を高い水準で正常化させる課題を示した。それは鉄鋼材生産を増やしてこそ、工場や企業所の復旧、拡張に必要な各種の機械部品や設備、重工業をはじめ農業や軽工業に必要な新しい機械類を生産できるからだ。そうなれば経済全般を軌道にのせることができる。

 一方、端川マグネシア総合工場には97年8月、高質マグネシアクリンカー工場が新設されている。共和国には世界埋蔵量の56%に当たる32億トンのマグネサイトが埋蔵されている。総書記は同総合工場を訪れ、良質のクリンカーと耐火材を多く生産しなければならないと述べた。そしてマグネシアクリンカー生産と搬出に必要な輸送を確保するために建設中の端川港、さらに大型貨物船の造船に着手している咸北造船所連合企業所を訪れた。

 つまり端川マグネシア総合工場で生産されたクリンカーや耐火材は、端川港を利用し、咸北造船所連合企業所で造船された大型貨物船で搬出されるのだ。

 ちなみに朝米基本合意文に基づき米国は、共和国産マグネサイト(耐火材原料)の輸出を許可。その後、米鉱物会社ミネラルテクノロジー社は米政府の承認を得て、共和国産マグネサイトを大量に輸入している。だが米国はいまだに米国の銀行を通じたドル決済を許可していない。一方、米鉱物協会(NMA)は97年8月までに、端川地区と剣徳地区の亜鉛、鉛、マグネサイトなどの開発について具体的に合意。5億ドル規模の投資を推進する予定だという。

 総書記はまた6月5日電気総合工場を訪れ、電力生産をいっそう高めるよう指示した。これらの工場をフル稼働させるには当然、電力問題を円満に解決しなければならない。共和国では大規模水力発電所建設を推進しているが、3月9日には咸鏡南道の金野江発電所建設も始まっている。これは「東部地区のもう一つの動力基地」であり、「社会主義経済建設を急ぐ重要な意義を持つ」(労働新聞3月12日付)。

 咸鏡南・北道の工業部門に対する総書記の現地指導は、経済を立て直して「2000年に迎える朝鮮労働党創建55周年を強盛大国建設の誇らしい成果として意義深く」(労働新聞1月7日付)迎えるための飛躍台を築くものとなろう。

 

工場、企業所活動家協議会

重工業発展の土台構築/鉄鋼材増産で工業生産正常に

 次に金策製鉄、城津製鋼、茂山鉱山の各連合企業所と清津鉄道局をはじめとする工場、企業所活動家協議会の意味について見る。

 咸鏡北道は「国の基幹工業の重要な基地」(金日成主席)と言われる。道内にある金策製鉄(金鉄、清津市)、城津製鋼(城鋼、金策市)の両連合企業所は、国内屈指の製鉄製鋼連合企業所で、茂山鉱山連合企業所(茂鉱、茂山郡)で採掘された精鉱などを原料として利用している。

 これらの企業所では多くの製品を生産し、経済全般の発展に大きな役割を果たした経緯がある。しかしここ数年間は、食糧とエネルギー不足がネックとなり、工場の稼働率が低下していた。

 総書記は昨年3月9日、城鋼を訪れ、鋼鉄生産を高い水準で正常化するための協議を行った。また労働新聞1月7日付は、「経済司令部」とされる内閣の当面の目標の中で、茂鉱を強化し、金鉄などの製鉄、鉄鋼所の鉄鋼材生産を高めることを上げた。つまりこれらの企業所が咸鏡北道の工業部門における重要地点であることは言うまでもない。

 総書記は工場、企業所活動家協議会で、金鉄では既存の生産能力を最大限に発揮し、城鋼では現在ある設備と資材で増産に努め、茂鉱では精鉱生産を高め、さらに清津鉄道局では鉄鉱材生産に必要な精鉱など各種原料と資材を適時に運搬するよう強調した。

 鉄鋼材生産を画期的に増やせば、それは各種機械部品や設備、レールや機関車、造船などの資材として活用でき、重工業を発展させるための土台を築くことができる。

 ちなみに清津市では3月24日、金日成主席の咸鏡北道に対する現地指導40周年記念報告会が行われた。主席は40年前の1959年3月6日から24日にわたって、道内の事業全般を指導し、工業部門で露呈されていた欠陥と原因を分析、金属、石炭、電力、化学、軽工業部門で提起される課題を示した。

 記念報告会では、主席が現地指導で示した「遺訓教示」は党の指導体系を整え、党活動と人民政権を改善強化し、経済を発展させ人民生活を向上させるうえでの綱領的な指針となると指摘。そして同道が国の基幹工業の基地として、自立的民族経済の発展に貢献したことについて言及しながら、主席の「現地教示」を引き続き貫徹していくことを呼びかけた。

 こうして見ると、工場、企業所活動家協議会には、鉄鋼材を増産することによって道内の工業生産を正常化させ、国の基幹工業、重工業の土台を築こうとの総書記の意図が込められている。