総聯福岡・小倉支部で「民族教育権利シンポジウム」
「民族教育権利シンポジウム」が3月10日、総聯福岡・小倉支部で開かれ、同胞ら110余人が参加した。「ウリ支部は子供たちの未来を応援します」を合い言葉に民族教育の問題に力を入れてきた総聯小倉支部をはじめ、各分会、小倉商工会、小倉青商会、女性同盟小倉支部、朝青小倉支部、小倉朝鮮幼稚園、朝銀北九州支店が共催した。
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シンポではまず、総聯福岡県本部の鄭泰文委員長があいさつした。
続いてパネリストを務めた在日本朝鮮人中央教育会の鄭秀容副会長、大阪民族教育対策委員会の蔡成泰事務局長、北九州朝鮮初中級学校オモニ会の南清玉会長、九州朝鮮高級学校の金光正校長がそれぞれ発言。質疑応答と意見交換が行われた。
鄭副会長は、日本政府が朝鮮学校を弾圧してきた歴史と、日本弁護士連合会が昨年2月、日本政府に行った勧告について述べた。
日弁連は、朝鮮学校を「各種学校」の枠に押し込め「1条校」に比べて著しい不利益を被るよう強いているのは人権侵害だとして日本政府に差別是正を勧告した。同勧告および調査報告書は、自己の文化を保持、継承するのは神聖不可侵の権利であり、民族教育の権利は当然保障されるべきだと強調。その歴史的経緯を考えた場合とくに朝鮮学校は保護される必要があるとして、1条校と同等の資格を与え、私立学校と同等かそれ以上の助成を行うべきだとした。
鄭副会長は、この勧告・調査報告書を、運動の力強い武器として積極的に活用しなくてはならないと述べた。
蔡事務局長は、運動の主役は朝鮮学校に子供を通わせている保護者であり、保護者らが権利意識をしっかりと持つべきだと強調した。
大阪ではそのため、学習会やシンポジウムなどを度々開いた。こうした過程を通じて保護者らが積極的になり、今では行政に対する要請活動も、保護者らが中心となって行っている。
一方、日本社会で理解を得るための活動も繰り広げた。とくに、いまだ根深い朝鮮学校への誤解を取り除くため、公開授業や交流会などを積極的に開催。こうした過程を通じて日本市民の間で理解が広がり、それが、行政当局に大きな影響を及ぼした。大阪府はこの10年間で助成を大幅に引き上げ、現在では日本の都道府県の中で最高水準の年間3億円を支出している。
蔡事務局長は、行政との活動で重要なのは◇要請活動を全同胞的な運動として行う◇行政当局の関係者、当事者、自治体議会の議員らの理解を得る◇方法論を研究し、組織的に取り組む――ことだと強調した。
南会長は、一度は「1円も出さない」と回答した北九州市から年間50万円の助成を得るまでの経緯について報告。「助成金獲得運動は単に経済的な問題を解決するためのものではない。人間として当然の権利を獲得するためのものだ」と強調し、街頭宣伝や対外公開授業、朝・日生徒間の文化交流、バザーなどを通じて、日本市民らにアピールした経験を語った。
金校長は、福岡県は92年から「県私立外国人学校教育振興費補助金」の名目で県下各朝鮮学校に補助金を支給しているが用途が「国際交流」に限られており、北九州市と福岡市も「施設整備費」の名目で各市内の朝鮮学校に補助金を支給しているが微々たるものだと指摘。県や市が朝鮮学校の実情を考慮し、現行の補助を人件費などを含む経常費補助に高める必要があると強調した。
最後に総聯小倉支部の李基浩委員長が、民族教育権拡充のための同支部の行動計画を発表した。それによると、「民族教育権利獲得推進委員会」を発足させ、分会、商工会、青商会、女性同盟、朝青など全ての組織の活動家と学父母、同胞らが一丸となって4月から行政当局に対する要請行動を開始し、同時に9月まで3万人署名運動を行う。