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東大阪朝中卒業生ら、老人保健施設「ハーモニー共和」でボランティア


 3月に東大阪朝鮮中級学校を卒業した学生たちが、卒業式前日の3月13日、大阪市生野区にある老人保健施設「ハーモニー共和」を訪れ、入所している在日同胞と日本人のお年寄りに、手作りのタペストリーなどを贈った。

 学生たちは昨年秋からお年寄りと交流しており、施設の関係者からは「お年寄りの表情が明るくなったし、施設の雰囲気も変わった」などと喜ばれている。

 この学生らが初めて同施設を訪問したのは、昨年11月。卒業を前に、地域同胞の暮らしを知るための実習として、朝鮮幼稚園、商工会、朝銀、共和病院などを見学した際、同施設も対象に含まれた。

 学生らは3日間通い、歌や踊り、紙芝居などの文化公演を行ったほか、部屋の飾り付けなどもした。その間、お年寄りとの会話も弾み、とくに同胞高齢者らは、女子学生のチマ・チョゴリ姿を、「可愛い」と喜んだという。

 大多数の学生は、こうした施設を訪れたのは初めてだった。

 金由恵さんは、家族と離れて暮らし、病気などがなかなか治らない不安の中で精神状態が不安定になりやすいお年寄りの気持ちを落ち着かせようと、誠心誠意で接する職員らの姿が印象に残ったという。また、朝鮮舞踊を披露した際に、学生らと一緒に踊りを楽しみながら涙まで流して喜ぶお年寄りの姿に、「何かもっと、元気づけることができないかと思った」と語る。

 施設入所者の半数は車椅子に頼っている。生活は単調になりがちで、訪問客が家族だけだったり、またはまったくいない人もいることなどから、孫と同世代の学生らの訪問が歓迎されているようだ。

 学生らは、3日間の訪問を終えた後も個別に施設を訪れ、清掃やお年寄りの話し相手などのボランティア活動に精を出した。

 卒業式の前日に贈り物をしたのは、こうした過程で、お年寄りたちに「卒業する前に、大きなプレゼントを持ってくる」と、約束していたためだ。

 学生らを担任した林春陽教員は、「同胞らとの肌と肌の触れ合いを通して、生きた現実を見つめながら自分に出来ることを探せるようになったのでは」と話す。

 また共和病院の梁宗三事務局長は、「お年寄りと一緒に散歩したり話し相手になるボランティアが切実に求められる中で、学生らの訪問は非常に喜ばしいこと。今後もより多くの若者が、施設を訪れることを望む」と話していた。