ここが知りたいQ&A/最高人民会議第10期第2回会議
Q 今回の会議では何が話し合われたの
A 今年の予算を編成/人民経済計画法を採択
(1)最高人民会議決定「共和国チュチェ87(1998)年国家予算執行の決算について」(2)最高人民会議法令「共和国チュチェ88(1999)年国家予算について」(3)同法令「共和国人民経済計画法の採択について」―という上程された議案を全会一致で採択した。
最高人民会議第10期第2回会議(4月7〜9日)は、昨年7月に第10期代議員が選出された後の第1回会議(同年9月開催)後、7ヵ月ぶりに開かれた。
第1回会議では、金正日総書記が「国家の最高職責」である国防委員会委員長に推戴されたのをはじめ、社会主義憲法が修正・補充され、94年7月に逝去した金日成主席を「永遠の主席」に戴くことが明記された。また、(1)中央人民委と最高人民会議常設会議を統合し、最高人民会議常任委員会を新設(2)政務院を内閣に改め、最高主権の行政的執行機関だけでなく全般的国家管理機関としての権限を付与――するなど、国家機構が発展的に整備・改善された。さらに3月7日には道(直轄市)、市(区域)、郡の人民会議代議員選挙が行われ、国家システムは末端まで整備された。このように人民政権の機能と役割が一層強化された条件のもとで、今回の会議が開かれた。
また社会主義憲法第92条によると、最高人民会議は定期会議と臨時会議をもち、定期会議は1年に1〜2回、招集されることになっている。最高人民会議は、94年4月の第9期第7回会議以来、昨年9月の第10期第1回会議まで4年5ヵ月間開かれていなかった。金日成主席の急逝という予期せぬ出来事があったためだが、主席の3年喪を経て昨年7月に第10期代議員が選出されて2ヵ月後に第1回会議が、それから7ヵ月後に第2回会議が開かれた。
Q 99年の予算が組まれたが
A 経済活性化、生活の安定・向上へ/農業、電力などに集中
林京淑財政相の報告によると、昨年の国家予算の歳入総額は197億9080万ウォンで、計画を98%遂行した。歳出総額は200億1521万ウォンで、計画を99%執行した。
国家予算の歳入と歳出の総額は、94年以来公表されていなかった。ちなみに94年の歳入は416億20万ウォンで、歳出は414億4215万ウォン。昨年の歳入、歳出は94年の半分程度だった。
それは近年、共和国が(1)ソ連、東欧崩壊による社会主義市場の喪失(2)米国を中心とする国際的な共和国抹殺策動(3)95〜97年と3年続いた自然災害――によって、かつてない困難な中で社会主義建設の推進を余儀なくされてきたからだ。 とくに農業(=食糧)、エネルギー不足は、共和国経済の推進に大きな支障を来した。しかし共和国人民の自助努力などによって、人民経済を活性化できる土台が築かれ、農業部門では「食糧問題を完全に解決できる確固たる展望が開かれた」(今年の共同社説)。つまり厳しい状況の中でも経済を立て直す展望が開かれたため、98年の予算が決算され、99年の予算が公表されたものと思われる。
食糧問題では、農業省の計画に基づきジャガイモ栽培面積は今春までに昨年に比べて2倍に拡大され、収穫を増やせると予想される。またエネルギー問題は、昨年までに中小型発電所が5000ヵ所に建設され、各地域単位で求められる消費電力問題などを解決した。さらに現在、引き続き中小型発電所を建設するとともに、大規模水力発電所の建設にも取り組んでいる。
一方、99年国家予算の歳入、歳出の総額は、それぞれ203億8172万ウォンで、昨年に比べて歳入総額は103%、歳出総額は101.8%増となった。
中でも経済に対する支出は昨年比102%増と、全体の投資に比べて0.2%も多く、人民生活の安定・向上に力を注いでいることがうかがえる。
とくに電力工業と農業に最大の比重があてられている。農業に対する投資は、食糧問題を決定的に解決するために昨年比111%増で、電力工業部門に対する投資は昨年比115%増となっている。
また石炭工業、鉱業、金属、機械工業など基幹工業部門を発展させ、鉄道運輸を優先させるために、これらの部門には前年比110%増の資金を投資する。さらに科学事業費の支出は昨年比110%増にすることを見越している。
このように99年の予算は、「強盛大国建設で新たな転換を起こすうえで、キーポイントとなる重要部門に財政を集中させる方向で編成」(林財政相)されている。
Q 人民経済計画法が採択されたが
A 国家の統一的指導を徹底/現実打算し実利追及
人民経済計画法は第1章「計画法の基本」、第2章「計画の作成」、第3章・「計画の批准と示達」、第4章「計画の実行」、第5章「計画の実行総括」、第6章「計画事業に対する指導・統制」の全6章48条で構成されている。
法では、共和国の経済は「生産手段に対する社会主義的所有に基づいた計画経済である」(第2条)と明確にし、国家が「経済を統一的に掌握して、唯一的な計画に沿って管理・運営する」(第3条)という政策的立場を規定している。
そのうえで「自立的民族経済の基盤を強化し、人民の生活を絶え間なく高められるよう人民経済を計画的に発展させる」(第2条)と強調している。
つまり「社会主義経済法則と現実的な条件を正しく見積もって科学性、現実性、動員性が保障された人民経済計画を立て、計画実行の規律を強化し、経済事業で実利を出すようにする」(第6条)ことが目的だ。ここでは、ただ単に計画を実行せよというのではなく、現実を打算して計画を実行することを強調している。
そして経済を立て直すうえでの方途は、例えば、計画を実際に実行する「機関、企業所、団体は、輸出計画に見込まれた製品を先に生産しなければならない」(第32条)と規定。これは製品を生産して輸出で得た外貨を国の重要工業部門に投資する拡大再生産の方法で、工業を立て直すことを意味すると思われる。
一方、同法に対する報告を行った最高人民会議常任委員会の楊亨燮副委員長は、党は経済の計画的管理でいかなる分権化や自由化も許さず、今後も国家の中央集権的統一的指導原則を固守していくだろうと述べ、これは金日成主席の遺訓であると強調した。
さらに楊副委員長は同法について、経済の自由化の風を徹底的に防ぎ、計画的管理原則を守っていく党と国家、人民の揺るぎない意志が反映されていると指摘した。